【大紀元日本5月13日】中国の深刻化する貧富の格差が再び注目されている。中国国営「新華社」傘下の「経済参考報」は5月10日、調査報道を掲載し、「中国社会での貧富の格差は警戒ラインに達している。この現状および富の不均等な配分の拡張を食い止めなければ、深刻な結果を招く」と警鐘を鳴らした。
「新華社調研小分隊」によるこの調査報道は、中国各地の経済学者や、専門家、一般幹部、人民への大規模な取材に基づいて作成された。
同調査報道によると、中国国民の所得を白、黒、灰色、血色、金色の五色に分類。それぞれの色は、合法(白)、非合法(黒・灰色)、暴利(血色・金色)の性質を意味する。そのうち、都市部人口の10%を占める高所得者が、多くの「灰色・非合法所得」に分類されている。「幹部の汚職問題や不健全な富の配分体制が、不均等な配分を助長させている」と指摘。専門家の論点から、一刻も早くこの問題を解決すべだと語っている。
また、社会における所得分配の不平等さを測るジニ係数(0から1の間の指標数字、値がゼロに近いほど格差が少ないことを表す)を、取材対象である学者や専門家に算出してもらったところ、世界銀行が算出した0・47の中国のジニ係数に同意するという。社会が不安定になる警戒ラインは0・4とされるが、国家発展改革委員会のマクロ経済研究院教授・常修澤氏は同紙の取材に応じて、中国のジニ係数は00年に0・4の警戒ラインを超え、上昇し続けていると指摘。「貧富の格差の問題は限界に達している」と懸念を示した。
同報道によると、所得に関しては、都市は農村の3・3倍。警戒ラインとされる2・0倍を遥かに超えている。年収について、最も高い業界と最も低い業界の差は約15倍。株式上場の国営企業について、高級管理職の年収は第一線従業員の約18倍。国営企業の上級管理職の年収は社会全体の平均年収の約128倍。
「近年、中国経済が急激に発展し続けたため、各社会層の所得も伸びた。しかし、様々な要因により、低所得層の富は実質的に増加していない」と経済学者・唐均氏は指摘している。