母や妻子ら8人殺害 中国で凶悪事件が多発 弱肉強食の社会体制が根源か

2010/05/11
更新: 2010/05/11

【大紀元日本5月11日】中国江西省吉安市吉水県で8日夕方、男が自分の家族3人を含む8人を刃物で殺害した凶悪事件が発生した。容疑者の周葉忠は、自分の母親(80歳)と妻、娘(10歳)、さらに隣人4人と出稼ぎ労働者1人を次々とナイフで刺し、死亡させた。地元警察は付近に潜伏していた周容疑者を殺人容疑で逮捕し、動機などについて取り調べを行っている。

多発する凶悪殺人事件

ここ半年、中国では凶悪な殺人事件が多発している。昨年11月にも、北京で男が自分の両親、妹、妻、子供2人の家族6人を殺害した。

また、3月からは相次いで5件の児童殺傷事件が発生。3月23日、福建省南平市の小学校で起きた13人の児童殺傷事件;4月12日、広西自治区合浦県の小学校前で児童2人が殺害された事件;28日、広東省湛江市の小学校で児童ら19人が殺傷された事件;29日、江蘇省泰州市の幼稚園で園児ら31人が刺傷された事件;更に、30日に山東省濰坊市で発生した小学校の児童がハンマーで襲撃された事件。

これらの凶悪事件の共通点は、子供や年配者、女性など本来、庇護されるべき社会的弱者を狙った犯行であることだ。

弱肉強食の社会システムが背景に

中国社会研究会会長で北京理工大学の胡星斗教授は、現代中国は強者と弱者がはっきりと分かれている社会で、貧富の差が激しく、階層の対立も激化していると指摘する。「中国はまさに弱肉強食の社会。特権階層や既得権層が庶民の利益をあらゆる手段で搾取することでますます強くなり、一方、搾取される弱者側は窮地からの出口が見えず、自分より更に弱い物にダメージを与えることで社会への報復を図る」と胡星斗教授は分析する。さらに、「複雑な社会問題に起因する犯行であるが、このような犯行は極めて残忍で、卑怯であり、自己中心的である」と指摘した。

中国人民大学の社会学教授・周孝正氏は、中国社会における不公平な配分制度と司法制度が犯罪の温床になっていると指摘。これらの不公平なシステムの再構築こそ、階層対立の緩和や凶悪事件の根絶に繋がると話した。

(翻訳編集・張YH)