株安下で流れるPKO観測、1万3000円が攻防ラインか

2008/01/21
更新: 2008/01/21

[東京 21日 ロイター] 週明け21日の東京株式市場で日経平均株価は前日比500円を超える下落となり18日に付けた昨年来安値をあっさり更新した。もともと1万3000台は需給やテクニカル面からフシ目の少ない「真空地帯」とみられており、目先は1万3000円の攻防が大きな焦点として浮上している。

こうした中で、株式市場では、ゆうちょ銀行、かんぽ生命によるPKO(プライス・キーピング・オペレーション)観測が出ている。

実際、日経平均が前週末18日の後場にザラ場安値から約500円切り返した要因のひとつとして、ゆうちょ銀行、かんぽ生命によるPKO観測が市場に流れた。「当局からの株式相場や需給についての問い合わせが急増している。直接の株の購入はできないので、ゆうちょ、かんぽを使って買いを入れたのではないか」と外資系証券のある事情通は語る。

18日の東証1部売買代金は3.1兆円と膨らんだが、国内の機関投資家は株価の急落で長期投資の資金を入れにくくなっており、買いの主体は「公的資金」と、株価切り返しで踏み上げさせられた短期筋の買い戻しではないかとの見方が多かった。「株価急落でボラティリティが上昇している。ボラが上昇しリスクが上がると長期投資資金の一括管理を行っている機関投資家は株は割安と思っていても買えなくなってしまう」(準大手証券売買担当者)という。

現在、売り方となっているのは国内の短期筋や個人投資家の一部とみられている。「顧客がヘッジファンドに対して解約通知を行う最終期限が四半期末日から数えて45日まで。このため2月15日まではヘッジファンドの売りが出てくる可能性はあるが、これまでの売りで日本株資産は相当量減っている。ヘッジファンドからの売り玉は少なくなっているようだ」(米系証券)という。

実際、1月6日─1月12日の対内株式投資(指定報告機関ベース)は649億円の資本流出超となったが、12月9─15日の5532億円、16─22日の3282億円の流出超と比べ規模は小さくなってきている。

ただ、買い方が乏しいなかでは「PKOのような公的資金が入らない日は、(きょうのように)売りに押されてしまう」(前出の準大手証券売買担当者)状況との声が出る。

前出の外資系証券の事情通は「当局は1万3000円割れを心配している。割れたところは前週末のように買いを入れてくる可能性がある」と述べる。

昨年10月に郵政事業が民営化され、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も現在は、日本郵政グループのいち民間企業であり、PKOが政策として行われた1990年代とは事情が違う。それでもPKOに期待してしまうのは、現在の政治情勢では真っ当な政策を打ち出せないと市場参加者が見限っている証し、との嘆きも聞こえる。

(ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者;編集 橋本浩)
関連特集: