【大紀元日本12月10日】航空会社の了承を得ないまま、中国化学製品メーカー「中国化学工業建設」大連支社が2000年2月に腐蝕性の高い化学物質を空輸したことで、機体が腐食し、廃棄された事件があった。マレーシア航空会社と海外の保険会社は「中国化学工業建設」大連支社を北京市高等裁判所に提訴したが、5年を経て、今月5日午前に判決が出された。同裁判所は、「中国化学工業建設」大連支社が海外保険会社に賠償金約6500万ドルを支払う判決を言い渡した。
化学品が漏れて飛行機を腐食
中国新聞紙「京華時報」の報道によると、2000年2月、「中国化学工業建設」大連支社はマレーシア航空にMH085便のフライトで「8-ヒドロキシキノリン」という化学工業製品を北京からインドマドラスまで空輸することを依頼した。この化学工業製品は固体の粉末と申し出ていたという。
同年3月15日、マレーシア航空の飛行機はクアランプール空港に到着した。運搬スタッフが飛行機から化学製品を下ろすために機体に入ると、実は製品が液状で大量に漏れていたのを発覚した。事故当時白色の気体が機内を充満し、5人のスタッフが有害ガスを吸い込んで気を失ったが、緊急治療を受けたあとに蘇って、命には別状がなかった。
マレーシア航空代理人の劉弁護士は、二つのエンジンはまだ使えそうだが、機体部分が殆ど腐食しており、廃棄せざるを得ないと説明した。
中国会社は荷物の危険性を隠蔽
事件直後にマレーシア航空が「中国化学工業建設」大連支社に手紙で荷物のことを問い合わせた。返事によると、空輸を依頼した化学製品は「8-ヒドロキシキノリン」ではなく、「塩化オキサリル」であったことがわかった。
劉弁護士に話によると、「中国化学工業建設」大連支社が事前に「塩化オキサリル」のような危険な液体であることを説明してくれれば、運賃が高くなるが、安全面を補強して、事故を未然に防げたという。
飛行機を廃棄
2001年2月28日、機体を製造したフランスエアバス社は修理方法とそのコストを見積もった。修理するには8900万ドルを上回ると推定し、しかも例え修理できても、安全性は保障できないため、廃棄の結論を出した。
マレーシア航空は保険契約の内容に基づいて、全損と公表し、機体廃棄後、保険会社は同航空会社に保険金を支払った。
マレーシア航空は判決の結果に不満
翌年3月13日、マレーシア航空と保険会社は北京市高等裁判所で「中国化学工業建設」大連支社を告訴した。約6500万ドルと相応の利息を賠償するよう求めた。原告側は、「中国化学工業建設」大連支社が荷物の危険性を隠蔽したことが今回の事故の主要な原因だと主張した。
原告代理人・劉弁護士によると、原告側は勝訴したが、要求した賠償額を満たしていないため、上訴に踏み切るかどうか、現在原告側と調整中であるという