【大紀元日本9月22日】カンボジア警察は9月19日、クメール・ルージュ(かつてのカンボジア共産党)のナンバー2のヌオン・チャ容疑者(82)を逮捕した。同容疑者は同日、取調べのために出廷させられ、1975年から1979年までにカンボジア共産党が行った大量虐殺により、170万人が死亡したことに加担したとして、「戦争犯罪」および「人道に反する罪」で起訴された。
情報筋によると、クメール・ルージュー統治時代の幹部の中で、生存者は今でもカンボジア国内に居住しており、ヌオン・チャも1998年下半期に政府に投降してから、カンボジア国内に居住し、自由に行動することができる。一方、当時の犯罪に関与した者を法の下に裁くために昨年、国連の支持下に「カンボジア特別法廷」を設立した。この法廷で最初に裁かれる者は、当時ポルポトの側近だったヌオン・チャ容疑者にすべきだとの声が高い。しかし、人権団体は、提訴に名を挙げられ年老いた虐殺の加担者らは、審査を受ける前に亡くなると懸念しているが、評論家らは、この法廷は正義を広める最後の機会だとみている。
情報筋によると、「カンボジア特別法廷」は現在、チャ容疑者のほかに、クメール・ルージュー統治時代にS21刑務所(※)の所長を務めたダチ容疑者を収監しているという。ダチ容疑者は1ヶ月前に人道に反する罪で起訴されている。その他の容疑者はまだ検察側に公に指名されていないが、キュー・サムファン前国家主席、イエンサリ外務大臣などの上層幹部はすでに逮捕リストに載せられているとみられる。
情報筋によると、19日に警察はチャ容疑者の自宅を包囲し、逮捕状を提示してから、十数台の車でチャ容疑者をヘリポートまで護送し、首都プノンペンへ直行したという。一方チャ容疑者の息子とその場に居合わせた数十人はただ呆然として見ていた。同容疑者は連行される前に、車の窓を降ろし、息子を一見した。隣人によると、同容疑者は身体が震え、両足で立っていられないように見えたという。
クメール・ルージュー政権当時、内部でナンバー2と言われていたチャ容疑者は、同政権における刑執行政策の重要な担当者で、1950年および1960年の間に、ポルポトの地下共産党運動の主導権の奪取に貢献したという。さらに、1970年代の大量虐殺において、政治的イデオロギーの参謀役になっていた。同容疑者は今年7月のメディアの取材に対して、「私は殺人に関与していない。誰が責任を負うべきかは分からない」と虐殺の加担を強く否定した。
※S21刑務所
「S21」は首都プノンペンにある「トゥールスレン刑務所」の通称で、高校校舎を改造した政治犯収容所。ポル・ポト政権時代、1万4000人以上がこの収容施設に捕らえられ、生還できたのは、7人だけだったという。