バチカン承認の中国人主教、監禁中に死亡

2007/09/14
更新: 2007/09/14

【大紀元日本9月14日】中国河北省のカトリック教主教・韓鼎祥氏は9月9日、監禁中に死亡した。同じ教区の神父A氏は匿名の条件で米国VOAの取材に応じ、一部詳細を明らかにした。米国の支援団体は、韓鼎祥氏の死因を質疑、バチカンに調査を行うよう促した。

韓鼎祥・主教は1937年生まれ、生涯において幾度も中国当局に監禁された。第1回目の逮捕は1960年、罪状は反革命活動の推進。強制労働収容所で19年間を服役、1979年に釈放された。また、1986年には神父、1989年には主教と、バチカンに承認された。最後の逮捕は1999年、罪状は違法な宗教信仰活動を行うこと。亡くなるまでに刑務所で過ごした。

A氏によると、韓鼎祥・主教が亡くなったのは9月9日午後11時ごろ。当局が家族に知らせたのは翌午前1時半ごろ。家族は遺体を一目見せられただけで、同3時には遺体が火葬場に運ばれ、同5時には火葬された。8年間の監禁期間中、韓鼎祥・主教の情報が完全に封じられ、亡くなる数日前に、当局が家族に面会の知らせを出したが、すでに危篤状態だった。死因について、当局はガンであると説明したという。

また、韓鼎祥・主教の知り合い、河北省献県教区の神父・劉本篤によると、韓鼎祥・主教は非常に敬虔なカトリック教信者である。信仰に関して、例え命を失っても、教義に沿わない悪いことを絶対しない。彼は中国当局制御下の主教と交流を試みたこともあり、バチカンの絶対的権威を守るよう求めたという。

米国の「巽品梅基金会」は、中国のカトリック教家庭教会を支援する組織。同基金会は声明文を発表し、韓鼎祥・主教の死因について疑問視し、死後6時間以内に火葬されたことや、埋葬の際に、友人と教会関係者の参列を禁止したことなどを挙げた。

同基金会は、中国当局のこのやり方は人道が欠如している上、疑わしいと指摘し、バチカンに対し、同主教の死因を調査するよう促した。

現時点までに、中国当局は韓鼎祥・主教の死去について、いかなるコメントも出していない。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、中国当局が管理する「中国カトリック教愛国協会」の副会長・劉柏年氏は、「この名前は我々の主教名簿に載っていない。我々はこの人の存在を知らない。彼の状況も知らない」と発言した。

中国でのカトリック教信者は2つに分かれている。中国当局が制御する「愛国協会」と、バチカンに忠誠を誓う「家庭教会」(地下教会)。後者は、当局の取締りを受けている。米国VOAの報道によると、中国全土で合計1400万人のカトリック教信者がいる、そのうち、約1000万人は家庭教会の信者だという。

(翻訳・叶子)