【大紀元日本9月1日】米VOAによると、中国政府はチベット仏教の制御をさらに強化するために、チベット地区において、すべてのラマの転生は中国政府の許可が必要との新しい法令を9月1日より実行することに決定したという。チベット運動活動家は、新しい法令はチベット文化に対する破壊であると非難し、中共指導者は来世世界まで制御したい行動は荒唐無稽だと指摘した。
新法令は、中国政府の許可がなければ、チベットのラマの転生を禁止するというもの。チベットを統治して50年以上が経った中国政府は、国外の寺院については転生に対して影響を与えることは許さないとし、中国国内の寺院のみ転生の申請ができると強調した。
チベット問題専門家および活動家らは、チベット仏教の宗教指導者が行う活動の核心である転生ラマの選定に対して、新法令は明らかにチベット亡命精神指導者ダライラマが転生ラマまたは活仏の選定を制止するものだと指摘した。また、中国政府は新しい法令を用いて、ダライラマの転生に介入するために用意したものだと分析した。現在72歳のダライラマは中国政府に「分裂分子」とされている。
オーストラリア国立大学でチベット仏教を研究する専門家ジョン・バウアス氏は、中国の新法令はあまりにも「荒唐無稽」であり、やり過ぎだと指摘した。
バウアス氏は「中国政府がすべての可能性を尽くして、宗教活動および人々の日常生活を制御しようとしている。現世だけではなく、来世の生死までコントロールしようとしている。このようなことは独裁的な全体主義政府しかできないのだ」と非難した。
国際人権団体は長期にわたり中国政府がチベット地区で行っている宗教および人権迫害を非難し続けている。1995年、中国政府はダライラマが指定したパンチェン・ラマの転生を承認しなかった上、パンチェン・ラマを監禁し、別のパンチェン・ラマを指定した。しかし、実際、チベット人には、中国政府が指定したラマが合法的な宗教指導者とみている者は殆どいない。チベット仏教において、ダライラマに次いだ地位を占めるものがパンチェン・ラマである。
一方、ダライラマはこれまでに、自分の転生はチベット以外の場所になると示した。このままだと、未来において、2人のダライラマが同時に存在することになる。すなわち、中国政府が指定する者と亡命政府のダライラマだ。
本部がインド・ダラムサラにあるチベット亡命政府およびチベット人権・民主センターのスポークスマン、テンジン・ノーゲイ(Tenzin Norgay)氏は、チベット人は中国政府が指定するダライラマを受け入れないと断言した。
ノーゲイ氏は、「宗教を信仰しない党が、次のダライラマを知るすべはある訳がない。一般のチベット人にとって、北京当局が指定したパンチェン・ラマに対してまったく尊重はしていない。故に、新法令が実行され、中国政府がダライラマを指定しても通用しないのだ。最終的に、チベット人が北京当局の選択を尊重するかどうかによるのだ」と指摘した。
一方、中国政府は、新法令は「社会の調和を維持する」ためだとした。これは北京当局が少数民族問題に触れたときに、または、各種経済や政治衝突・矛盾が起きたときによく使われる理由だ。
中国政府は近年、チベット地区を開発し、貧困からの脱出を宣伝の下に、昨年正式に開通した青蔵鉄道を含み、種々の経済開発項目を行った。しかし、人権団体は、大量の漢民族がチベットになだれ込んでおり、チベットの伝統文化が徐々にかき消されているとしている。今回の新法令の実行は、さらにチベット文化の核心部分、すなわち、宗教および精神領域を脅かしていると懸念される。
チベットを離れ亡命したダライラマ14世はすでに独立を止め、チベット地区が真の自治が有するように求めていることにした。ダライラマの特使によると、中国政府と何度も非公式会談を行ったが、この問題において、実質上の進展はないという。
毎年、多くのチベット僧侶がヒマラヤ山脈を越え、ダライラマのいる場所を目指し亡命している。現在、チベットから海外へ亡命したチベット人は13万人に上るという。
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