【大紀元日本8月16日】中国大陸のインフレは4カ月連続で拡大を続けている。中国国家統計局の公表によると、7月の物価上昇率は5.6%で、6月に比べ1.2%上昇し、過去10年来の最高値を記録した。今年7か月を通じた物価上昇率は3.5%であった。大陸におけるインフレの加速に伴い、香港の食品価格も上昇している。ある卸商人は、大陸からに輸入食品が更に値上がりするとの通知を受けた。あるレストラン経営者は、経営コストはますます高くなると指摘している。大陸の学者や香港のエコノミストの予測によると、食品価格は、今後も大陸の物価水準を引き上げ、中国人民銀行は、利上げを通じたインフレ抑制を続けるという。
今年7月、大陸の食品価格は15.4%上昇した。上げ幅が最も大きかったものの種別を見ると、肉類、卵がそれぞれ45%、30%の上昇、野菜が18%の上昇であった。医療及び個人用品の価格は2.2%の上昇、漢方の材料価格は10%の上昇であった。家賃、建材、水、電気等居住関連の項目の価格は、4.4%の上昇であった。
中・低収入者の被害が深刻
今年以来、中国大陸において多くの種類の食品が値上がりしており、一部食品に到っては、上げ幅が数十パーセントとなっている。しかし、過去1年間、大陸居住者の賃金の伸び率の平均は、わずか2~3%であり、物価の上昇に追いついていない。
北京市民によると、物価の上昇は、彼らの生活負担を重くしている。あるネットユーザは、物価は市場によって調整すべきであると語っている。
中国社会科学院金融研究所研究員・易憲容の指摘によると、大陸のインフレは、実のところ「中国式インフレ」であり、厳格に統制された低金利政策を用い、先ず資産価格を引き上げ、次に基本的な生活用品の価格を高騰させ、最後に、国内の各種物品価格の全面的な上昇をもたらしているという。
彼は、ネット記事『中国式のインフレに耐えられるか』において、「中国
式インフレ」は、実質的に、「貧しき者を挫き、富める者を助ける」インフレであると指摘している。中国式インフレは、不動産価格を引き上げ、これによって、絶対多数の低収入者を不動産市場から遠ざけている。そして、多くの住民の基本的な生活消費を非常に高価なものとし、低収入者の負担を増加させている。まさにこの意味において、「中国式インフレ」が、国内の中・低収入者に与える被害は非常に深刻であり、大陸の民衆には耐えられないものになっている。
香港の食品価格も上昇
衣食の大部分を大陸に依存する香港も、「中国式インフレ」の影響を受けている。最近、市民は、食品価格がますます高くなっていることに怒りを持っている。市民によると、「毎日少しずつ値上がりしており、全てが高くなっている。これを見てくれ。ビーフンが2.5元から3.5元になっている…レタス、菜心が皆高くなっている。菜心の売値が500グラム10元になっている」という。
食品価格の上昇は、主として、大陸における食品価格急騰の影響による。最近、香港の輸入商は、大陸の供給商から、食品価格を再度値上げし、卵を一箱185元とする旨の通知を受けたが、この価格は、2か月前に比べて50%の上昇となっている。ポークランチョンミートは、一箱277元で、20%の上昇となっており、牛乳に至っては、上げ幅が30%を超えていた。
原材料価格の上昇に加え、人民元の切り上げによって、食品の卸売価格は、全体で10%から20%上昇したが、これは、後に小売価格にも反映されてくる。香港の卸売商によると、食品価格が上昇している以外にも、最近では食品、とくに豚肉類の食品の供給量が減少しているという。
大陸の食品価格の上昇は、香港のレストラン経営に圧力となっている。このうち、茶葉の価格は数倍になっており、ある経営者は「菊花茶は、500グラム10元余りから、40元余りとなり、プーアル茶は。500グラム2,30元から、8,90元に上昇している。しかし、競争圧力があるため、お茶の価格を引き上げることはできない」と話している
また、あるレストラン業者は、優遇措置で顧客を引きつけ、薄利多売でコスト上昇圧力を相殺するしかないと語っている。
香港餐飲聯業協会会長・黄家和は、「香港が輸入する食品の9割は大陸からのものであるため、飲食業界に対する価格上昇圧力は今後増していくものと考える」と上昇を続ける食品価格について懸念している。
黄家和の指摘によると、今年上半期において、食品価格の上昇と人民元の切り上げにより、各飲食団体の価格の上げ幅は既に5%に達しており、年全体での上げ幅は、10%~11%になるものと予測される。彼らは、大陸の食品価格上昇の動きに注視し、値上げ幅がさらに増加する可能性を排除しないとしている。
利上げを通じたインフレ抑制を予測する経済界
大陸の物価上昇率が過去10年の最高値となったことについて、大陸の学者や香港のエコノミストは、食品価格が、引き続き、大陸の物価水準を引き上げるとともに、中国人民銀行が、利上げを通じたインフレの抑制を続けると予測する。
北京理工大学経済学部教授・胡星斗によると、北京当局は物価上昇問題を非常に重視しているが、大陸の食品価格は、依然として上昇の趨勢にあることから、政府は、利上げ、預金準備率の引き上げ、公開市場操作などの施策により、大陸のインフレ圧力の抑制に努める予測する。
星展銀行の在香港シニア・エコノミストである梁兆基の予測によると、今年下半期の大陸の物価上昇率は5%以上の水準を維持し、中国人民銀行は今年のうちに2度、毎回0・27%の利上げし、預金利率は3・87%の水準になるという。
梁兆基によると、中央政府は、物価の高騰を抑制するための措置を継続するという。彼は、大陸の今年全体の物価上昇率が4%であると仮定すると、大陸の預金利率もまた、この水準まで上昇しなくてはならないと語っている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。