【大紀元日本8月9日】1978年から中国で実施されている「一人っ子政策」の若者は現在、20代となり、総人口の4分の1を占めている。急成長を遂げた中国経済の恩恵を浴びて育った彼らは、いわゆる自己中心的で、貪欲な消費者であるといわれている。米「タイム」誌アジア版7月号は、「中国のミー・ジェネレーション(Me Generation)」と題したカバーストーリーを掲載し、政治・民主化に無関心な若者たちのミーイズム(自己中心主義)が、中国の民主化を阻んでいると分析した。
タイム誌のサイモン・エレガント(Simon Elegant)記者が取材したのは、中国都市部に住む典型的な若者6人。話題のレストランに集まり、最先端ファッションに身を包む彼らの職業は会計士、保険数理士などで、北京にある外資系企業に勤めるエリートである。彼らは旅行、グルメ、ダイビング、スキー、インターネット、iPod、クレジットカードなどの話題で盛り上がるが、唯一触れないのは「政治」である。
政治に無関心な点は、中国の新世代と親世代の根本的な違いだとエレガント氏は指摘する。親世代は、大躍進、文化大革命などの苦い過去を経験している一方、新世代にとってそれらの事件は既に歴史でしかない。六四天安門事件が起こった時は、新世代はまだ幼かったため、改革のための原動力とするほど覚えているわけではない。インターネット、ビデオゲームを楽しみ、消費社会の波にのって成長してきた新世代は、現在の生活に不満があるわけではない。取材に応じたある若者は、「わたし達の生活は、とってもいいの。私は、レストランのウェイトレスの態度とか買い物に関して、自分の権利を気にするけど、民主主義とか、そのようなものは….私の人生には関係ないわ」。
中国の人口統計データによると、18歳から30歳の人数は約3億人で、中国総人口の4分の1を占める。スイスのある銀行の調査によると、中国の20歳から29歳までの若者層は過去3年間の平均収入が34%程度上昇し、その度合いは他の年齢層を大幅に上回るという。自己中心的で、政治に無関心な「ミー・ジェネレーション」が望むのは、現在の生活の維持であり、経済成長が保障されることだけだ。ナイキ、スターバックスが大好きで、ブログに明け暮れる中国都市部の若者は、選挙権などに興味はなく、ましてや現政府を倒そうとは考えない。生活雑誌を出版する中国人によると、「彼らの望みは、民主主義よりも任天堂ウィーの方が先にくるよ」。
中国共産党(中共)にとって、最大の救世主はこの「ミー・ジェネレーション」だ。中共が経済成長を保障してくれる限り、彼らは満足しており、改革よりも「現状維持」が大切なのだ。中国ウォッチャーが予想していた、いわゆる「経済成長とミドルクラスの増大が、中国を民主化させる」というシナリオは、もろくも崩れ去ったとエレガント記者は指摘する。中共は現状維持に満足する「ミー・ジェネレーション」を大事にする一方、その犠牲となっている地方の農民への対応は疎かだ。農民の社会保障や教育、格差是正のための財源は、経済成長を維持するために使われる。しかし、このまま「ミー・ジェネレーション」が成長を続けるには、政府の改革が必要だ。ある若者は、「私たちは、自己中心的。自分のために生きることがいいの。それが、力となって、経済に寄与している。私たちの世代は、それで国のためになっているの」と語った。記事は、これら中国の若者たちが民主主義も中国を助けることになると気付いてくれるか否かで中国の将来が決まってくるだろうと締めくくった。
上海の街角を往来する若い女の子たち(MARK RALSTON/AFP/Getty IMAGES)
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