中国広東省貴嶼鎮:世界最大の「電子廃品ゴミの街」、有毒化学物質による深刻な汚染

2007/06/20
更新: 2007/06/20

【大紀元日本6月20日】中国広東省汕頭市貴嶼鎮の多くの住民は、山積みの廃棄されたコンピュータ部品から、金や銅のような価値のある金属を採集する仕事に従事している。毎年、百万トンを超えるコンピュータ、キーボード、テレビ部品および携帯電話の廃品は、海路で中国へ密輸されている。多くの密輸品は最終的に中国南部の貴嶼鎮にたどり着く。繁華な香港とそう離れていない貴嶼鎮は、廃棄された電子部品の解体および深刻な環境汚染問題によって、世界最大「電子廃品ゴミの街」と称されている。

貴嶼鎮の労働人口の80%は電子部品ゴミ解体業に従事しているが、この産業は、街や河川周辺にゴミが山積みされ、地元の土壌や河川の深刻な汚染をもたらした。この問題は、香港メディアの報道によって、初めて国連および非政府団体の関心が寄せられ、貴嶼鎮の真相はようやく明らかにされ、国際社会を驚愕させた。

解体に従事する労働者たちは電子部品ゴミを解体する際、換気設備のない場所で、まったくマスクを着用せずに、薄い手袋をつけて解体作業を行っていることである。勿論、政府関係者による安全対策も行われていない。労働者たちは、ここを訪ねる外国人に対して常に怯える目で見つめる。何故なら、彼らはここで生活を維持して行く唯一の仕事を失いたくないからだ。しかし、もっとも彼らを脅かしているのが、真実の情報を漏らした後に与えられる暴力である。そのため、彼らは沈黙を守り、自ら命を縮めるこの仕事を黙々と行うことを選んだ。

電子廃品の構造が複雑であるため、解体するときは製造時と同様に煩雑な作業を要し、コストがかさんでしまう。また、電子廃品に重金属、プラスチックなどのものが含まれているため、それらを分離させるために、燃焼、洗浄または高温で焼くなど、極めて汚染度の高い方法を用いることになる。解体過程において、安全な処理を行わなければ、作業者および地元の環境に対して、深刻な汚染をもたらす。環境団体「グリーンピース」の環境研究員によると、溶鉱炉の中から破裂して飛び出たコンピュータ部品で火傷した作業者が多くいるという。

この解体業の市場規模は10億元(約154億円)に相当すると推定されるが、ここで働く労働者は命を危険に晒されるこの仕事の報酬として1人当たり、1日3元(約46円)しか支給されていないという。ほとんどは中間業者のポケットに入るという。中国官製人民日報は、地元住民3万人は、この仕事のお蔭で生活ができると宣伝している。

一方、電子廃品から金属およびプラスチックが取り出された残骸は、ゴミ捨て場または河川に投げ捨てられるか、直接焼却される。そのため、地元の空気や水質が極めて悪く、刺激的な臭いが町中に充満しており、地下水と地表水はほとんど飲用できなくなっている。元々あった大量の河川が、1980年代より電子廃品解体を行ってから、20年間蓄積された廃棄物の流し込みによって、河川はまさしく「どぶ川」になった。そのほか、郊外の農地に様々な廃品ゴミが山積みになっており、地元の農地も深刻な汚染により耕作不能になった。

国連の統計によると、世界で毎年5千万トンの電子廃品が生じる。中国はその内の7・2割を処理しているという。廃品を処理する過程において、婦人および子供を含む労働者たちは全員、有毒化学物質にさらされており、廃品に関する毒性問題も業者から作業者への安全上の注意はない。実際、貴嶼鎮の住民は10人の内、9人が皮膚、神経、呼吸および消化系統の病に罹っているという。

実際、千葉県市原市の日本人業者は、毎月コンテナ10台分の廃品を中国天津へ輸出していることを明らかにした。多くの中国港は同類の密輸コンテナを受け入れており、1つのコンテナに対して70万円が支払われ、諸費用を控除しても、47万円の純利益が得られるという。急激な経済発展にある中国は現在、大量の鋼、プラスチック、紙およびその他の工業原料を必要としているため、このような中間業者にとって利益率の高いビジネスになっている。

(記者・廖珮妮)