【大紀元日本6月17日】米国人権団体「中国人権」はこのほど報告書を発表し、中国当局が明確に国家機密のガイドラインを示し、「国家機密漏洩」と罪で、民主・人権活動家を監禁、言論自由を制圧するのを止めるよう促した。一方、米国の法律専門家は、立法はもちろん重要だが、司法を独立させるのが、権力濫用を防ぐ最も重要な要素と指摘した。米国VOAが報じた。
国家機密の範囲は広すぎて、不透明
本部が米国のニューヨークにある人権団体「中国人権」は6月12日報告書を発表した。その中で、「中国法律の国家機密の設定はあまりにも広く、不透明である。このようなやり方は、中国での政治と法律制度の構築に脅威をもたらし、中国当局と民間社会が直面する挑戦を応対する能力を低下させた」と指摘している。
280ページに及ぶこの報告書は、「国家機密:中国司法の迷宮」と名づけている。報告書の中に、中国で国家機密と規定されていた様々の情報を挙げた。労災事故や、婦女・児童誘拐などの統計データ、収監されている犯人の突然死、強制労働収容所と少年院などの監禁施設の情報、中国公民が国外の宗教団体と連絡取る際の指令・原則、中華全国総工会(中国当局が設立・制御する全国労働組合の本部)の国内でのストライキ事件の統計データ、中国国内での水資源の汚染・ゴミ汚染の状況などが具体的に挙げられた。
「国家機密漏洩」で言論自由を圧制
中国人権のこの報告書は、様々の中国の法律や、法的規定、政府通達などを引用、初めて英語に訳された対外国の公告も含まれている。報告書は、「中国の司法機関は、このような『複雑かつ、不透明な』国家機密の条例を盾に、国内での言論・報道自由を圧制するだけではなく、国際メディアや、学者、科学研究者をも制限している」と指摘した。
報告書は、東南アジアに蔓延した2004年のSARS感染や、2005年のロシアのシベリア地区にも影響した黒龍江省の松花江流域の大規模な化学汚染事故などを実例に挙げ、中国当局は「国家機密」を濫用して、情報の自由流通を制限しているため、すでに国境を越えてマイナスな影響を引起こしていると指摘した。
1998年に中国の全国人民代表大会で通過されたある法律によれば、中国の国家機密は、「国家保秘局(注:国務院が直轄管理する国家機構、国家機密資料の管理にあたる、ソ連のKGBのような情報機関・秘密警察とも言われている)が設定したすべての機密情報であると定義している。中国の司法制度問題に関心する評論家は、「このような広範囲な定義は、行政当局に時には長い矛、時には盾として「活用」されている」と非難、「当局が恣意に「気に入らない国民」を逮捕、監禁、起訴できるようにした。と同時に、このようななんでも編入できる定義手段で、国民の真実を知る権利を剥奪」と分析している。
中国社会を強く束縛
米国のデービット・ストラコフ法学教授は、国家機密の内容を定義するのは、立法者にとって最も手を焼く問題としながらも、中国の法律では国家機密を定める関連条文の制限性が他国より強い上、定義も不透明すぎると指摘、「このような制限は、中国のような早い成長を遂げている社会を厳重に束縛」との見解を示し、「この種の制限の最大のマイナス作用は、民間からの多くの論点が圧制されること、しかも、これらの論点の多くは、社会の発展に有益である」と説明した。
中国当局が法律に沿って国家機密を定義せよ
中国人権の報告書は、中国当局が自国の憲法の言論自由などの基本公民権を保護する規定を守るように要請、法律に沿って、明確に国家機密を定義するよう求めた。また、この報告書は、中国司法機構は、国家機密の関連案件を審議する専門の独立機構を設立するよう提案、行政機構によるこの種の案件への干渉を排除、中国の文化に深く根付く『機密文化』を根絶するよう提議した。
中国人権の執行会長サラン・ホーム氏は12日、米国VOA記者の取材で、「中国は国際社会で尊敬されるのを願っている。北京五輪はまさしくこの願望の現われである。しかし、中国は国際社会から尊敬を得るには、国内外での人権保障問題を解決するほかない」と述べた。
司法の独立は問題解決の重要な鍵
米国デービット・ストラコフ法学教授は、「法律・法規の起訴や、修正は問題解決の一部に過ぎず。法律が濫用されるのを避けるために、最も理想な方法は司法を独立させること」と指摘した。
同教授は、「司法の独立は政権の公平化や、社会の平等に最も重要である。現実の問題は、どうやって司法の独立を実現させること。裁判官が行政当局などからの影響を受けるのを避けさせるべき」と説明、「メディアの独立や、公民の意識進歩も、調和的な社会を構築するには重要不可欠」と述べた。
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