【大紀元日本5月21日】オクスフォード大学、ケンブリッジ大学、ハーバード大学およびとトロント大学の研究団体からなる「オープン・ネット・イニシエイティブ(Open Net Initiative、以下ONI)」の初の公開会議が5月18日、英国オックスフォード大学で開かれ、5年間にわたるインターネット検閲についての共同研究調査を発表した。調査対象の41カ国のうち25カ国が、インターネット上に流される政治または社会問題に拘わる内容を政府主導で検閲し情報統制を行っていることが分かった。
開かれたONIの初の公開会議(The Berkman Center for Internet & Society at Harvard Law Schoolで公開されたビデオより)
今回の研究は120のプロバイダーが提供する数千箇所のウェブ・サイトが含まれている。ヨーロッパの一部の国および米国に対して調査は行っていない。理由としては、これらの国は政府主導ではなく、比較的に個人的に情報を検閲する傾向が強いからだという。
ハーバード大学法科大学院教授で、ベイクマンインターネットおよび社会研究センターのジョン・パルフレイ(John Palfrey)主任は、政府主導で情報検閲を行っている国は、2002年には数カ国しかなかったが、過去5年間で、25カ国にまで増加したと指摘した。また、インターネットの情報検閲の規模、範囲および複雑さも高くなっており、例えば、Skypeおよびグーグル・マップのようなウェブ・サイトとサービスも一部の国では封鎖されていると明らかにした。
調査報告によると、情報検閲を行う理由として3つがある。すなわち、政治および、権力、安全考慮、社会規範である。報告では、「世界の多くの国において、政府の情報検閲は、自国民が身の回りに起きた事件、自国の文化および世界その他の文化、公共知識の収集に対して、極めて大きく影響を与えている」という。
報告では、周知の中国を除いて、イラン、ミャンマー、シリア、チュニジアおよびベトナムは、政治関連のウェブ・サイトに対して最も厳しく検閲し情報統制していることを明らかにした。一方、イラン、オマーン、サウジアラビア、スーダン、チュニジア、アラブ首長国連邦およびイエメンは、成人向けウェブ・サイト、賭博および同性愛者ウェブ・サイトを含む社会問題に拘わるサイトに対して厳重に検閲しているという。
オクスフォード大学インターネットおよび社会研究センターのジテニン教授は、同団体は検閲を避けるための道具についても調査し、検閲を封鎖する科学技術はすでに活用されているかどうかを調査した。すでに研究開発され使用されている検閲突破技術は、トロント大学マンク国際研究センター(Munk Centre for International Studies)が研究開発した英語ベースの「白鳳(Psiphon)」、中国語版もあるロジャー・ディングレンダイ(Roger Dingledine)が開発された「トア(Tor)」が挙げられる。また、中国語ベースの「破網三劍客」が開発した「フリーゲイト(freegate)」「花園(Garden)」「ウルトラ・サーフ(UltraSurf)」および最近発表された「世界通(Gpass)」と「ファイア・フェニックス(Firephenix)」がある。
ケンブリッジ・セキュリティ・プログラム(Cambridge Security Programme)のラファル・ロホジンスキー(Rafal Rohozinski)研究員は、「殆どの国は一旦検閲を始めれば、広範囲にわたる内容に対して検閲を行う。これによって、政府がネット空間に対する制御を拡大することができる。インターネットはすでに、国家間、国民と国家の間における策略を競う掲示板となった」との見解を示した。
前出のパルフレイ主任は、今回の調査報告は検閲制度をより透明化する目的であるとし、「残念ながら、ネットにおける検閲活動は殆どが水面下で行っていることから、自国民でも国はどのように検閲し、検閲の対象は何であるかの答えを入手できない」と説明した。
調査報告によると、以下の25カ国が政府主導にてインターネット情報検閲を行っている。アゼルバイジャン(Azerbaijan)、バーレーン(Bahrain)、ミャンマー(Burma/Myanmar)、中国、エチオピア(Ethiopia)、インド、イラン、ヨルダン、リビア、モロッコ、オマーン、パキスタン、サウジアラビア、シンガポール、韓国、スーダン、シリア、タジキスタン(Tajikistan)、タイ、チュニジア、アラブ首長国連邦、トルクメニスタン(Turkmenistan)、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン。
一方、報告では、一部の国がインターネットに対する情報統制範囲は緩く、例えば、韓国政府は北朝鮮に関する情報だけに検閲を行うという。