米国史上最大の有毒ペット飼料事件、中国製造業者逮捕

2007/05/06
更新: 2007/05/06

【大紀元日本5月6日】4月に起きた米国史上最大規模のペット・フード回収事件の中、汚染されたペット・フード用原料を米国に輸出・販売したことで、米側に訴えられた中国徐州安営生物技術開発公司(Xuzhou Anying Biologic Technology Development、以下、安営生物社)責任者の毛利君・容疑者は中国当局に逮捕されたという。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、上海市の公安職員および検査報告を入手した人士の情報によると、毛利君は現在、上海市西北約320里(約64キロメートル)の江蘇省沛(ペー)県に勾留されているという。しかし、沛県警察局のスポークスマンは拘束した理由を控えたという。

米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug dministration、以下FDA)によると、今回の事件は、米国の数社大手ペット・フードメーカーの各種製品に波及し、報告を受けた4000件を超えるペット死亡ケースと関連しているとみられている。FDAはペット・フード事件の調査で、メラミン(melamine)を含有するペット飼料は一般顧客向けに流れただけではなく、豚および鶏の養殖業者にも流通されたことが分かり、波及する鶏の数量は250万羽に達する可能性が高いと明らかにした。

報道によると、米国側はすでに、中国製のすべての食物由来の合成タンパクの輸入を禁止した。今回の事件で影響を受け、中国からの野菜等その他の食品も現在米税関にて検査のために止められているという。

*米大量動物中毒、人間食物連鎖

FDAによると、今回の事件は4月に発生してから、すでに数千匹の動物死亡報告を受けたという。 FDAは同件との関連性が高いとみている。さらに4月末に、米国の8つの州にある養豚場も豚の飼料にもメラミン(melamine)が含有されていることが分かった。しかし、約6000匹の豚はすでに出荷され、人間の食物連鎖に波及した。

*中国入りしたFDA調査員

報道によると、今回の事件を調査するために、FDA調査員は4月30日に中国に到着したが、5月連休の影響で調査作業は進んでいない。

FDAは、安営生物社は20数箇所の供給先より汚染された小麦タンパクを購入し、製品ラベルを非食品類別に貼り替え、輸出検査を逃れたと推測している。

FDAによると、安営生物社のほか、濱州福田生物公司(Binzhou Futian Biological Technology)も汚染された小麦グルテンを米国へ輸出したとしてリストされた。この2社は、今回のペット・フード回収事件を引き起こした汚染されたペット・フード用原料の提供元であるという。

*安營生物社、事実否認、販売を続く

報道によると、逮捕された毛容疑者は数週間前に、メディアの電話取材に対して、安營生物社は一度も小麦グルテン(小麦タンパク)を輸出したことがなく、工業用化学物質のメラミンがなぜ同社のペット・フードを汚染したのか理解できないとコメントした。同容疑者はさらに、同社は貿易を営んでおり、製造はしておらず、中国国内販売のみだと主張し、「われわれの製品は安全である。可能性として、他の企業が米国で当社の社名を盗用したことだ」と訴えた。

これに対して、米側は、ペット・フード製造会社へ供給された小麦グルテンの原料にはすべて安營生物社のラベルが貼られていると指摘した。それよりも、安營生物社は2005年8月21日に、インターネットで「弊社は年間通して、大量のメラミン原料を求めている。連絡先:江蘇省徐州沛県王店工業区。郵便番号:221623。電話:86-516-4741888。担当者:毛利君」との広告を出していたことが指摘された。

「インターナショナル・ヘラルド・トリビュー」によると、毛氏は米側がペット・フード製品の回収開始数週間後になっても、インターネットで十数件の広告を出して、メラミンを大々的に買付けを行っていたという。

*スキャンダル拡大、中国側有毒原料の輸出を認めた

米国の指摘に対して、中国当局は当初怒りを表し否認し、米側の調査に対して協力の姿勢を示さなかった。米調査側担当者は、中国当局は米側が求めた資料の対応が遅く、調査員の中国へのビザ発給も非常に緩慢だったと不平をこぼした。その後、ペット・フードのスキャンダルが拡大しつつ、米国をはじめ国際社会で大きな注目を集めたため、中国当局がメラミンはペットの死亡事件の直接原因ではないと主張しながらも、有毒原料の輸出は認めた。

毛容疑者の逮捕は、中国当局が今回のスキャンダルに対して、自ら調査を行い、中国入りしたFDA調査員への協力をアピールしたものと見られている。

*中国化学メーカー、メラミン販売継続

「インターナショナル・ヘラルド・トリビュー」の報道によると、中国の化学メーカーは今でも飼料会社、しいては製パン工場にメラミン原料を販売しているという。河南省新郷華興化学公司の李秀平(音訳)部長は、「我々の化学製品は主に添加剤に使用されており、飼料には使用されない。メラミンは化学工業用途であるが、ケーキに使用されることも可能」とコメントした。

科学者らは、毒性の強くないメラミンでなぜ多くのペットが死亡したのかについて解明しようと研究を重ねている。メラミンは一種の化学製品で、主に塗料、紙のシワ予防、粘着剤などに使用される。