【大紀元日本5月2日】日本には「鶴の恩返し」という物語がある。「鶴の恩返し」は昔ばなしだが、次に紹介する「猿の恩返し」は、中国で最近現実に起こった不思議な出来事である。
2000年7月末、中国重慶市金仏山の深い密林に薬草を採りに行った地元住民の王志成さんは、突然、一匹の黒ヤセザルに足を引っ張られた。よく見ると、一匹の2歳ぐらいの黒ヤセザルが怪我をして左上肢から血を流しており、可哀相に啼きながら助けを求めていた。
王志成さんは、すぐこのサルを抱き上げて家に連れ帰って傷口を手当し、傷口が治るまで縄でサルを家に繋いでおいた。一週間後、傷が治ったので、王志成さんはサルを放して、山に帰らせようとしたが、サルは、なかなか家から離れなかった。このサルは、人の気持ちが分かるようになり、家の仕事を手伝った。毎朝、黒ヤセザルは王志成さんの畑に行って、農作物を食べにくるイノシシや、黄色いサル、ハリネズミなどを追い払った。このようにして、黒ヤセザルは王さんの家で1カ月以上暮らした後、ある朝静かに王さんの家を離れた。
その年の9月末の午前3時ごろ、王志成さんが眠っていたところ、突然、猛烈にドアを叩く音と大きな叫び声で目を覚ました。急いで戸外に出て見ると、あの黒ヤセザルが帰って来ていた。王さんがこのサルを抱こうとしたところ、サルはいつもと違って、王さんの腕から抜け出して、恐れているような声で叫び続けた。王さんはサルの奇異な挙動を不思議に思いながらその意味が分からなかった。そして、このサルは王さんの腕を引っ張りながら、村のすぐ近くにある山を指さした。王さんが、その方向を見たところ、一つの大きな山が崩れかけて、山から落石がごろごろ落ちているのが見えた。
王志成さんは緊急事態が発生したことが分かり、すぐ部屋に戻って妻と子供を避難させてから、急いで一軒一軒の家を回って、村の五軒の住民20数人全員を起して一緒に村から逃げた。村の人々が村から離れて間もなく、転がってきた大きな岩が村全体を押しつぶした。目の前の様子を見て、村の人々は皆涙を流して、もし、このサルが来なければ、恐らく皆が大きな岩の下敷きになったと思った。
少し、落ち着いてから、九死に一生を得た村人たちは、命を助けてくれた「恩人」を探し始めた。ふと見ると、あの黒ヤセザルは木の上に立って、嬉しそうに「ボーボー」と啼いていた。そして、間もなく、この黒ヤセザルは密林の中に消えたという。
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