【大紀元日本4月22日】中国返還後10周年を迎える香港では、過去強い経済力の象徴であった香港ドルが、運命の岐路に立っている。エコノミストの一部は、「香港ドルの寿命は長くても5年間で、5年後に為替市場では香港ドルが消え、人民元に替わる可能性がある」と分析する。フランス国際ラジオ放送が伝えた。
香港ドル相場は、固定相場制によって1米ドル=7・75-7・78香港ドルに固定されている。一方、人民元相場は2005年7月まで対ドルで固定相場制を採用していたが、2005年7月21日中国人民銀行(中央銀行)は、人民元の為替相場制度を通貨バスケット制に移行し、対ドルの人民元為替レートを約2・1%(1ドル8・28 元から1ドル=8・11ドルへ)切り上げると発表した。また、人民元相場は人民銀行が毎日発表する基準レートから一定の幅の中での変動を認めるとした。
人民元の切り上げを発表してから、元高が近年急速に進み、米ドル・人民元の為替レートは去年5月1ドル=8・0人民元を突破してから、今年1月12日さらに、1ドル=7・80人民元を突破し、7・7977人民元に上昇した。現在、1米ドル=7・81香港ドルに対して、1米ドル=7・72人民元となっている。つまり、人民元の価値は香港ドルの価値を上回ったことを意味する。市場多くのアナリストは、元高はこれからも続き、今年1米ドル=7・50台を試す可能性が十分ある、と大胆に予測する。
2005年7月に実施された人民元切り上げの影響や中央銀行の政策金利政策などにより、アジア各国の通貨は対米ドルでほぼ同時に上昇している。しかし、香港ドルは例外だ。香港ドル相場は、2005年7月から2006年5月末まで、大きな動きを見せず、7・75台を維持していたが、2006年6月から少しずつ下落をし始めた。2004年2月に香港の銀行で個人顧客を対象とする人民元取り扱い業務が認可されて以来、香港金融機関の人民元預金残高は増加し続けた。香港金融管理局の発表(今年1月)によると、2006年末には前年度比で15億元(約229・5億円)と約6・6%大幅に増加し、242億元(約3702・6億円)に達した。
香港ドルの下落により、これまで人々の「香港でお金を儲けて、広東で消費する」との消費習慣が大きく変わる傾向が現れた。報道によれば、香港に近接した中国広東省深圳市では、一部の商店やタクシーの運転手だけではなく、コーヒー専門店「スターバックス」ですら、米ドルや香港ドルを受けとらなくなったという。これは香港消費者に不便をもたらした。一方、強い人民元を背景に香港を訪ねる中国人観光者が年々増えている。以前、中国人旅行者は香港の街角にある両替ショップで、人民元を香港ドルに両替していたが、今現在は「人民元歓迎」や「人民元の支払いが可能」の張り紙が出される商店が増えるにつれて、中国本土からの旅行者の多くは直接に人民元で支払って買物するのが普通になった。
人民元と香港ドルの逆転について、香港金融管理局(中央銀行に相当する)の任志剛総裁は最近、「人民元がさらに上昇しても、香港としてはこれからも香港ドルを保留する」と発言したが、専門家の間では、人民元の上昇は香港経済に大きな影響を与えており、人民元の浸透によって、香港では香港ドルを使う機会が少なくなり、最終的に人民元に代わる可能性があるとの見方が強い。これは、通貨上の「一国一制度」と述べた。
香港では、経済的な面だけではなく、行政長官や立法議会選挙制度などの政治面でも中国共産党(中共)当局に強く影響を与えられており、民主派は「一国二制度」の行く末を懸念している。フランス国際ラジオ放送は、「香港ドルの運命は香港における政治進展の一つのシンボルであろうか。香港ドルの命運を決定する権利は明らかに北京が握っている。そのため、香港は真に自らの将来を把握することができない。もし香港で、人民元で預金する人がさらに増えれば、香港ドルは最終的に植民地時代の遺物になるだろう」と指摘し、また同ラジオ放送は「エコノミストの一部は、香港ドルは長くてあと5年間の寿命で、5年後に人民元と統合され、香港人民元に変わってしまうと予測している」と報道した。
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