中共上層部の内部抗争、策略をめぐらす暗闘白熱化

2007/04/19
更新: 2007/04/19

【大紀元日本4月19日】中国共産党(中共)政治局の賈慶林・常任委員(江沢民陣営の主要人物)の腹心である北京市海淀区長がこのほど、胡錦濤・総書記と温家宝・首相(以下、胡・温)に「双規」(※)された。一方、8ヶ月音信不通になっていた高智晟・人権弁護士から突然の連絡で明らかにされた中共に秘密裏で強制連行され拷問を受け、家族が人質になった情報が、国際社会から注目の的となった。これに対して、民衆の強い抗議活動で、訪日中の温首相は苦しい立場に追いやられた。一連の出来事はすべて、高弁護士の迫害を指令する曾慶紅が策略を図り、民衆が高弁護士の迫害に対する怒りを温首相へとなすり付けたのである。胡・温勢力と江沢民派勢力の暗闘は白熱化する様相を呈している。

*賈慶林・常委を落とし、江沢民派勢力を徹底的に一掃する胡温勢力

3月16日、温首相は全人大第10回第5次会議閉会後、国内外の記者に対して、中国政府関係者における腐敗は日増しに深刻になっているとし、権力の過剰集中および有効的な制約と監督がないためであると指摘した。温首相のこの談話は、まさに外界に対して、次の具体的な行動指針を示したのであった。すなわち、賈慶林氏を落とし、徹底的に江沢民派勢力の阻害を一掃し、民意を獲得し政治改革を起こし、権威を樹立することを示唆した。

温首相のコメントの中で、多くの上層部指導者に関わっていることに言及したが、所謂上層部指導者とは、江沢民の腹心である賈慶林氏を指すのであった。中共のこれまでのやり方では、相手を引き倒すときに、周囲から片付けて行く。例えば、胡・温が陳良宇・前上海市委書記を失脚させた時も、陳氏の腹心で元秘書、秦裕・寶山区区長および任孫路・市委副書記からメスを入れた。

今回は賈慶林氏の腹心で、北京市海淀区の周良洛・区長が土地使用を不当に許可したことで、中共中央紀律委員会に「双規」され、周区長の妻も取調べを受けたという。当局は周氏の違法内容に関して、具体的に明らかにしていないが、有識者らは周氏には政治・経済界、党内上層部と関わる巨大な利益集団が背後にあるとみている。

しかし、今回の周良洛・区長が双規されたのは単なる切り口に過ぎず、周氏が一旦罪を認めれば、次のターゲットは賈慶林氏のすべてをよく知る腹心で、北京市委常委兼海淀区委書記の譚維克氏である。譚氏が攻め落とされれば、賈慶林氏もなすすべもなく捕らわれの身となる。賈慶林氏が最終的に排除されるとなれば、腐敗が原因で中共政治局常委から追い払われるのは、1949年に共産党が結成して以来初めてとなる。

*江沢民派勢力、温首相を非難

一方、温首相の記者会見発言には、江沢民派勢力も言外の意味をさとった。それ故、中央政治局の例会で、李長春氏、曾慶紅氏、賈慶林氏が相次いで温首相を批判し非難した。通常の例会は2時間ほどで終了するのに対して、今回の例会は5時間も続いたことから、江沢民派勢力の反応の激しさを物語った。

また、温首相の発言の後半に、腐敗を解決するには政治改革しかないと強調したことについて、中共はこのほど、メディアを通じて政治改革を実行する情報を流し、北京当局関係者は、中共は十七人大の時に「静かな政治改革」を行うことをも示唆した。

*高弁護士逮捕・軟禁事件の黒幕である曾慶紅氏

これに対して、高智晟・人権弁護士の逮捕・軟禁の一件を裏で指揮する曾慶紅氏は、再び高弁護士を利用し、胡・温に対して、難題をふっかけた。実際、昨年8月15日に、曾慶紅氏の指示によって高弁護士が強制連行された時は、ちょうど国際社会から、中共当局によるファールンゴン(法輪功)学習者を狙った臓器狩り告発への調査の呼びかけが大きな反響を呼んだ時だった。中共当局は、高弁護士を逮捕することで国際社会の注意を臓器狩りから国際社会の目をそらさすという常套手段を取った。

経済評論家の草庵居士は、中共内部の対抗勢力は度々、高弁護士やファールンゴン学習者の臓器狩り事件などで、胡錦濤総書記に対し立場の明確にするよう迫ったと指摘し、「中共の体制とは、事をなせば、ミスを犯す。ミスを犯せば、追いやられる羽目になる」と分析し、「曾慶紅氏は胡総書記に対して、行動を取らせるように刺激させ、弱点を掴もうとするが、胡総書記はまったく動じることなく、江沢民氏や曾慶紅氏と長期戦も辞さない構えだ」と強調した。

草庵居士は「中共は民衆の反発は恐れていないが、各国政府が明確な態度を示すのを恐れている」と指摘し、「何故なら、外国政府が明確な態度を示せば、中共の内部抗争に置いて対抗勢力を攻撃し、すべての活動を強要する口実になるからだと分析した。

(記者・張海山)

※「双規」:近年では中国政府が一部官僚の汚職や横領を厳しく取り締まる際に実施している方法。「双規」とは決められた時間と場所で、自分の犯した問題と罪に対する反省を行うことである。「双規」されている間、行動の自由が全くない。通常、共産党と政府の高級幹部に対し、正式に逮捕、起訴する前に、党の規律組織である規律検査委員会が容疑者を「双規」して、本人から問題を徹底聴取し、これまでの調査で把握している内容と照合して罪を確定していくという一連の調査の最終局面である。「双規」は基本的には共産党内部のことで、一般人とっては重大な人権侵害となる。(新流行語辞典より)

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