【大紀元日本3月21日】中国旧正月が過ぎてから、広東省東莞地区の労働力不足問題は緩和されないばかりか、状況が悪化する一方である。一部の香港企業は労働者の手配ができない恐れがあることから、受注も受付けられない状況にいるという。さらに、一部の小型香港企業が労働力不足のために、倒産する恐れさえ出てきているという。
香港「文匯報」によると、東莞大朗鎮香港双利針織有限公司は今年、労働力不足問題において、昨年より深刻になっているという。同社工場責任者の周氏は、昨年の旧正月後には30~40人の工員が戻ったのに対して、今年は十数人しか戻ってきていないとし、同工場では実際に80人が必要とするところ、現在では十数人しか確保できたいないと嘆いた。
周氏はさらに、同工場の縫製部門では誰一人の工員も戻って来ていないため、工場内の縫製機も稼動しないで放置したままだという。同氏によると、同社のような小型香港企業の工場でも、一般工員の工賃が千元(約1万5400円)であるという。周氏は、政府当局は工員最低賃金の基準を設けたため、同社も賃上げしたが、労働力不足の問題はそれ以上に深刻であると訴えた。
周氏は、「コストは年々上がっているため、同社と同様の小企業は僅かな利益しか獲得できない、強いてはコストだけの確保で精一杯の時代を行かざるを得ない。労働力問題は解決できなければ、一部の小型企業工場は圧力によって倒産の道を辿らざるを得ないのだ」と強調した。
しかし、こういう現状であっても、多くの中小香港企業は生産拠点を大陸内陸への移動は考えていない。周氏は「ある会社が以前、湖南省益陽にメリヤス新工場を作ったが、労働力不足問題は依然として存在しており、その上、労働効率および完備した設備に関して、内陸の工場は珠江デルタ地域に及ばないことから、最終的に工場は閉鎖された」と語った。
情報によると、旧正月後の労働力不足を緩和させるために、東莞地域において、少なからずの企業が賃上げをし、労働力の確保をしたり、他の工場から引き抜いたりしたという。
同じ東莞大朗鎮にある香港嘉成コンピュータ刺繍工場も同様に労働力不足問題を抱えている。同工場責任者・黄氏によると、今年の旧正月後、労働力は昨年同期比3割減少したとし、工場の稼働率は6割にも達さないという。黄氏は、少量注文の対応ですら難しいのに、況して大量注文はなおさら受付けられないのだと強調した。黄氏は「実際に引越すことも考えていたが、同社のような加工工場は、引越しをすることは、すべての顧客を失う覚悟をせざるを得ないのだ」と嘆いた。