【大紀元日本2月6日】青蔵鉄道は、中央の命令で建設した中国唯一の鉄道だ。当時、鉄道部の多くの関係者はこの事業を支持するわけではなかったが、北京政府はなぜ、巨額の資本を惜しまずに青蔵鉄道を建造することに踏み切ったのか、その解答は中国の地質学者が提供した。鉄道沿線では、豊富な鉱物資源が発見されており、チベットの精神的指導者・ダライラマの懸念が現実のものとなっている。
平均海抜4,000kmの高原に鉄道が建設されるのは世界でも例がなく、総工程の作業難度は、全世界でも最高レベルだ。この鉄道を建造するためには北京政府は37億ドルを支出、鉄道作業員と軍人の多くが犠牲になった。中国政府はなぜ青蔵鉄道の建設を決めたのか、その価値は一体どこにあるのかという疑問を持たざるを得ない。
ダライラマの懸念
今まで北京政府は、青蔵鉄道の建設目的が、チベット地区の経済発展を推進するためと称している。しかし、チベットの精神的指導者・ダライラマは、青蔵鉄道の建設する目的がチベットで巨大な自然資源を発見したためであると、何度も述べていた。ダライラマは、節度がない開発により、ヒマラヤ山脈地区の生態環境が深刻な破壊に遭うことを招くと指摘している。ダライラマの自然環境への配慮は、確かに中国の地質科学者により実証された。
鉄道の通る地区は極めて寒いし、高所の土地も永久凍土層となっており、自然環境などの変化による鉄道の安全性が不安視されている。レールの安定性を保証するため、高架鉄道で建設しなければならない。
(Getty Images)
青蔵鉄道沿線で天然資源の発見
1月下旬に中国地質調査局長・孟憲氏は、青蔵鉄道の建設の目的は北京政府がチベット地区の天然資源を開発・利用することにあるということを明かした。
孟氏によると、1999年から行った国土資源調査で、青蔵鉄道の沿線では大規模の銅、鉄、亜鉛の鉱物区が16ケ所発見された。現在、青蔵鉄道の沿線に5つの有色金属の鉱山集中区が初期段階で形成してきた。全地区資源の埋蔵量については、銅が2千万トンを、亜鉛が1千万トンを上回ると予測されている。全地区の鉱物埋蔵量は巨大であり、ただ墨竹工卡県一つの地域では、採掘された銅鉱量は789万トンに達した。超大型の銅鉱区として、徳興県に次ぐ中国の第2の銅鉱床になるという。
中国の専門家は、青蔵鉄道の沿線に対する天然資源の調査と開発が、中国現在の各種の資源ニーズを解決することに役立てると考えている。青蔵鉄道の建設は、北京政府にとってのチベット地区の自然資源を開発する重要な一環であるとされている。
「インド時報」によると、北京政府は10年内にチベット地区で更に3本の青蔵鉄道の支線を計画している。この3本の鉄道を完成後、青蔵鉄道の全長は2,000kmを超えるとみられる。
高原の生態環境が破壊
青蔵鉄道の開通によって、大量の旅客がチベットへ殺到すれば、疑いなくチベットの自然生態が破壊に直面する。環境保護の学者は、チベット高原は寒暖の温度差が極めて高いため、全体の生態系は非常に脆弱である。植物はいったん破壊を受けると、再び回復するのに
鉄道の建設によりチベットの独特な宗教と文化を急速に破壊されているとの批判がある。ラサへ朝聖に向かっているチベット族。(Getty Images)
最低限60年以上の時間がかかると懸念している。
地元チベット人の抗議
海外へ亡命した「チベット女性協会」の才仁・会長は、「中国共産党は青蔵鉄道がチベットの繁栄をもたらすと宣伝している。しかし、これに政治的陰謀が秘められているのは、周知の事実だ。チベット民族は、さらに(同化政策によって)周辺化されており、チベット民族の伝統文化が漢民族の大量進出によって破壊されるだろう」と懸念を示している。
ラマ僧のローザンヌ氏(27)によると、青蔵鉄道の開通後によってもたらされた経済効果が必ずしもチベット人の手の中に入るとは限らない、さらに「彼らが地元の住民の就職口を奪い去る可能性がある」と述べている。
チェンバ(強巴)氏によると、観光客をさらに誘致するのは、ポタラ宮にとってよいことではない。「私の関心はどれだけの観光客が来て、お金を落とすかという経済的な問題ではない。宮殿自体の保護が心配だ」と述べている。大量の観光客が押し寄せると、土塊と木材で作り上げた13階のこの高い宮殿が堪えられなくなるという。
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