三峡ダムの建設にあたり、地元住民120万人が強制的に立ち退き処分となったが、これら地元住民の「立ち退き・転居」のための政府補償費が、官僚たちに横領されている事実が発覚した。中国審計署の「会計監査チーム」は1月25日、政府の一部腐敗部門を告発、それら公的な資金が不正に着服された横領事実をつきとめた。
新華社通信によると、審計署は昨年、湖北省、重慶市の本級、両地区直属の立ち退き地域・10区画について、2004年、2005年の会計について監査した。2年間で、96億元の予算が計上されているものの、実際に歳出されたのは、88億元余りであった。
今回の会計検査により、2億8900億元が横領されている事実が発覚した。その内、2億7200億元は、「立ち退き」以外の項目、建設、役所支所開設、企業支援、予算補正、住宅買い付け、利息支払いなどであった。
重慶市雲陽県交通局は、転居補償費の1440億元を「持ち出し」、重慶市移民局もまたこれに共謀して、542万元を着服、これによって公共住宅を建設買い上げしたり、訓練センターを建設したり、職員の官舎を建設したりした。会計検査チームは、この他にも不正な着服事実5件をつきとめ、すでに職員数人が、公安当局と紀検監察部門に身柄を引き渡された。
2004年から2006年にかけて、湖北省ズーグイ県三峡地区の「企業立ち退き・調整チーム」事務室は、立ち退き企業の従業員に対する「生活保障費」が、1000億元余り多く支出されている事実に注目、その内の160万元は、実際の立ち退き企業の従業員に対する「生活の保障」に支払われていなかった。
審計署の調査によると、三狭ダム地区の「立ち退き補償費」を不正に着服する手口には、「立ち退き資金を別途転用」「立ち退きの規模を大きく報告」「転居先の建設費用水増し」「補償額の水増し」などがあった。
この他、年度投資計画は、厳格に執行されておらず、内部だけで監査を行い、行政管理経費は慢性的に超過支出、買い上げた耕地を充分に払い下げず、これを勝手に転売したり、土地借り上げの補償金を支払いを渋ったりしていた。
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