バチカン:中国の宗教の自由を前提に、北京へ関係正常化求める

2007/01/28
更新: 2007/01/28

【大紀元日本1月28日】ベネディクト16世が発起した対中戦略討論会はこのほどバチカンで開催され、中国国内の宗教の自由を前提に、北京との関係正常化を図ることに意見が一致した。

バチカンのアジア新聞通信社によると、ベネディクト16世は、北京当局に対して、カトリック教信仰は中国人民に平和と充実な生活をもたらし、中国人民の福祉と世界平和のための目的であるとし、各方面において、中国との関係正常化を求めたという。

アジア自由ラジオによると、米シートン・ホール大学の楊力宇氏は「中国共産党の三自愛国協会は、バチカンに対して、中国国内の主教任命および内政を干渉してはならないと主張している。これに対して、バチカン側が譲歩し、中国側が指名した主教をバチカンが承認する形になれば、問題は解決できる。しかし、実際に、バチカンはこれまでに中国側が指名した主教に対して一度も承認したことがなかった」と指摘した。

楊氏は「中国側はバチカンとの外交関係を結ぶことに対して、真剣に考慮してはいない。何故なら、両国が一旦外交関係正常化すれば、バチカンの駐中国大使館関係者全員が神父であることから、いつでも各地域のカトリック教信者を訪問できることから、中国が国内の宗教を弾圧していることに対して、一定の影響を及ぼし、中国にとって不都合になるからだ」と指摘し、「しかし、別の角度から見れば、北京側はバチカンと国交を正常化することも望んでいる。何故なら、中国は台湾にとって最後の友好国家である欧州諸国との外交関係を断ち切らせたいからだ。台湾を抑圧することは中国の既定の政策であり、世界のどの国においても同政策である。北京はバチカンとの国交正常化に関して、なかなか均衡が取れず、決定しにくいことである」と指摘した。

一方、文化学者の謝選駿氏は、バチカンの立場において、台湾を裏切ることができても、自分自身を裏切ることはできないとの見解を示した。謝氏は、バチカンは中国に対して、宗教の自由を求めるのは口実であり、実際にカトリック教自身の利益のためでありと指摘した。謝氏は「カトリック教は他の宗教と異なり、すべての教会はバチカンの指導を受けなければならない制度があるとし、中国の要求を受け入れることは、言い換えれば、バチカンの制度を破壊することになる。すなわち、2千年にわたるカトリック教の制度を改訂することになり、言わば新しい宗教改革になる」と分析した。

バチカンがカトリック教の制度見直しの可能性について、謝氏はバチカン自身が崩壊しなければ困難であるとの見解を示した。その理由として、バチカンは中国政府との国交正常化のために、自国を崩壊させるまでのことをする必要はないからだと指摘した。

一方、中国カトリック教愛国会の劉柏年・副主席は、バチカンの対中戦略討論会について、結論内容が不明なためコメントを控えたが、中国とバチカンの国交を正常化するためには、2つの必須条件があるとした。すなわち、バチカンは台湾との国交を断絶することと、バチカンは中国の内政干渉はしてはならないことであると強調した。

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