【大紀元日本12月19日】12月以降、中国市場における食糧、食用油の価格が上昇しており、その上昇のペース、上げ幅の大きさは、ともに過去最高のものである。現在、全国の大・中都市における小麦粉の価格の上げ幅は10%を超えており、食用油のそれは20%を超えている。今回の食糧市場価格の上昇原因として、国際的な背景が非常に大きいが、同時に、中国食糧市場の未成熟ぶりも明らかになっている。
小麦の国際価格の小麦粉に対する影響は限定的
2004年以来、中国国産の小麦は、3年連続の豊作であり、在庫の増加は、中国の輸入小麦への依存度を大幅に引き下げている。2005年、中国の輸入小麦は293・4万トンであったが、これは、国内総需要の3・3%を占めるに過ぎない。
オーストラリア、カナダ、米国は、小麦の主要輸出国であるが、今年、オーストラリアにおける旱魃が深刻で、小麦が61%の減産となることが予測されたことから、小麦の国際価格の上昇がもたらされた。
中国が輸入しているのは、優良品質の小麦で、パン、麺、マカロニ等に用いられる。農業の専門家の見解によれば、小麦の国際価格の上昇は、これら一部の製品価格の上昇圧力にしかならない。
国内における今回の小麦粉価格の上昇は、主として、国内小麦の出荷のペースが緩慢であったことによる、小麦粉加工業者に対する原料供給の逼迫であり、このほか、鉄道輸送力の限界もまた、小麦の分配を困難にした。
エタノールへの需要がとうもろこしの価格を引き上げる
とうもろこしの総生産量のうち、中国人が直接食用に使用するものは、わずか5%である。しかし、飼育用に使用されるとうもろこしの量は、2006年において9650万トンで、総生産量の68%を占めているが、この数字は、米国の飼育用とうもろこしの割合に非常に近い。
米国農業部の数字によると、最大のとうもろこし生産・消費国である米国は、毎年2・5億トンのとうもろこしを生産しており、世界の生産量の40%を占めている。このうち、5000万トンを輸出するほか、2億トンを本国の消費に使用しており、このうち70%が家畜の飼料、12%が人の食用、13%がエタノール(俗称はアルコール)の生産に使用され、残りの5%はでんぷんを生産する原料となる。
近年において、石油価格が高騰したことから、エタノールを代替燃料とすることが一つの趨勢となっている。米国の多くの州は、法律を制定して、ガソリンにエタノールを10%以上添加することを求めており、今後更に、この数字が、20%に達することを求めている。
米国において、とうもろこしのエタノール用消費伸び率は、毎年6%のペースを維持している。ウォールストリートジャーナルの報道によると、需要が堅調であることから、今年9月中旬以降、とうもろこしの価格は既に55%上昇している。シカゴ商品取引所(CBOT)の価格表示システムによると、12月の現物価格は、350セント/1ブッシェルを超えており(約40ブッシェル=1トン)、来年3月の先物価格は、360~370セントの間である。
米国農業部の予測によると、今年、米国のエタノール工業において消費されるとうもろこしは21・5億ブッシェルで、今年の収穫量の20%に相当する。
数字によると、中国は世界第二位のとうもろこし生産・消費大国であり、2006年の生産量は1・4億トンである。内需に供されるほかに、少量の輸出(300万トン)がある。今回、国内のとうもろこし価格が上昇した主要な原因は、米国におけるとうもろこし価格上昇の影響であり、これにより、鶏卵価格の上昇も発生している。
エタノール代替燃料事業を大規模にスタートさせる中国
中国のエネルギー消費量は、既に世界第二位となっているが、同時に、高石油価格の困難にも直面している。一部その兆候が見られるが、中国は、エタノール代替エネルギー事業を大規模にスタートさせようとしている。
上海証券報によると、中国発展改革委は、「生物燃料、エタノール及び車用エタノールガソリンに係る“十一五(第11次5カ年計画)”発展特別計画」を国務院に報告した。この計画は、次の目標を明確に定めている:2010年において、エタノールガソリンを消費量の7割とする、すなわち、年間で520万トンを生産し、生産能力を2005年の102万トンの5倍とする。
中国政府が、エタノール燃料生産拡大の第二次サイクルを実施するに際し、アジア最大のアルコール製造企業である山東九九集団は、再編後2年を経た後に再始動する。山東九九集団の生産能力は50万トンであり、アジア最大の工業用アルコール製造企業である。
大豆をめぐる国際情勢により、国内食用油の価格が上昇
最近、中国食用油の価格が大幅に上昇しているが、これは、主として、大豆の国際価格上昇の影響による。飲食構造の変化及び製油業の発展により、中国は既に、90年代中期より、自給自足から、需要の60%以上を輸入に依存する立場に変化している。中国糧油情報センターによると、2006年において、中国国産の大豆は1550万トン、輸入大豆は3100万トンで、輸入が67%を占めている。主な輸入元は米国、ブラジル、アルゼンチンである。
大豆ととうもろこしの栽培期は2、3週間のずれしかない。米国は、来年において、大豆の耕地の多くをとうもろこしの栽培に転用することから、大豆の栽培面積が大幅に減少すると予測され、このことが、大豆の国際価格の上昇を引き起こすとともに、中国製油業のコストを引き上げている。
中国の食糧流通は、まだ市場経済ということはできない。今回の食糧市場における価格上昇は、国際市場の動きというより、国際価格の動きに歩調を合わせたものといったほうがよい。価格上昇は、食糧の国際的な需給関係を反映しているにすぎず、中国国内における需給関係を全く反映していない。
中国鄭州食品卸売市場は、中国で最初かつ最大の食糧・食用油の現物、先物取引所である。当取引所の紹介には、「成立後16年間における、鄭州食品卸売市場における各現物の累計取引量は4283万トンで、取引金額は597億元となっており、全国食品卸売市場の首位を占めている」との説明がある。
他方、中国の小麦年間生産量は9000万トンで、とうもろこしは1・4億トンである。ここから分かることは、市場の流通網に入っている食糧はごく一部にすぎず、このために、合理的な市場価格を形成することができていない。また、ここで国債食糧価格を使用したところで、国内の需給状況が反映できるというわけでもない。例えば、今年、中国国内におけるとうもろこしの生産量は潤沢であり、大規模に輸入しているわけでは決してない。しかし、とうもろこしの価格は、逆に国際価格の動向に従って上昇しているのである。
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