中国の個人消費率は過去最低、収入の伸びが深刻な停滞

2006/12/17
更新: 2006/12/17

【大紀元日本12月17日】「上海証券報」の報道によると、中国人民銀行副行長・蘇寧は23日午前、中国におけるGDPに占める最終消費の割合は、80年代の62%から2005年の52・1%に下落し、個人消費の割合も、1991年の48・8%から2005年の38・2%に下落し、ともに過去最低を記録したと述べた。

蘇寧はまた、貯蓄率は、2001年の38・9%から2005年の47・9%に上昇し、5年間で9%の伸びを記録したと述べた。貯蓄率の過剰、個人消費率の過少という構造的矛盾から一連の問題が発生しており、現在の金融調整が直面すべき最大の試練となっている。

報道によると、中国の個人消費率が持続的に下落する一方で、世界の平均消費率は78%~79%に達している。この格差は、天地の差と形容できるだろう。投資、消費及び輸出は、経済の高速発展を推進する3つのエンジンであると見なされるが、長期にわたり、中国は、「重投資、重輸出、軽消費」であり続けた。比較的高い経済成長は、主として投資と輸出に牽引されたもので、国内消費の貢献は非常に少なかった。

経済発展が過度に投資と輸出に依存する場合、非常に大きな懸念が存在する。かりに、投資が消費需要を超え、あるいは逸脱してその先を行く場合、投資規模は急激に膨張し、生産能力の過剰、在庫の増加、価格の下落、金融リスク及び経済運営リスクの増大をもたらす。商務部の調査によると、今年上半期において、消費財、生産材料の大多数が供給過剰であり、工業製品の生産能力の利用率は50%を下回っている。

経済発展が過度に輸出に依存する場合にもまた、多くの弊害が存在する。最近の数年間において、中国の対外輸出は増大しているが、貿易における保護主義の台頭とともに、貿易摩擦、輸出に対する圧力、不確実性のリスクがますます増加している。1995年から11年間、中国は、不当廉売に関する調査を受けた件数が最も多い国家となっている。今年4月21日に公表されたボアオ・アジアフォーラムの2006年度報告は、アジアの需要は、依然として輸出に対して過度に依存しており、リスク減少のため、内需を拡大すべきであると指摘している。

報道は、事実はまさにこのとおりであると強調している。内需主導で成長する道を進むことで、はじめて外部からのリスクを防ぎ、外部の経済変動がもたらす大きな衝撃を避けることができ、これによって、経済を安定的・持続的に発展させることができる。中国は、内需の拡大を第11次5カ年計画における経済運営の重要な内容の一つとしたが、中国の個人消費が過去最低となったことは、現状が楽観すべき状態ではないことを示している。

この問題の根源には、主として2つの原因がある。

第一に、収入の伸びが、経済成長に比べて停滞している。近年、中国のGDPは、9%前後の速度で成長し、各級政府の財政収入もまた、年平均で20%の速度で増加している。しかし、賃金のGDPに占める割合は、1989年の16%から、2003年の12%に下落している。現在、中国都市住民の可処分所得の伸び率は、GDPや投資のそれを下回っており、ひいては、商品小売額の伸びよりも低くなっている。更に、収入の分配が不平等である。現在、電力、電気通信、金融、保険、水・電気・ガスの供給、タバコなどの産業職員の平均収入は、その他産業職員の平均収入の5倍~10倍である。

第二に、住宅価格、医療費用、学費及び、水、電気、天然ガスの価格が上昇を続けていること、及び老齢保障などの問題が、人々の将来に対する期待を不確実なものとしており、これが、当期の消費を抑制させている。当期の消費を控え、貯蓄を増やして将来に備えざるを得ない状況は、いつでも、リスクをもたらしうる。中国の最終消費の対GDP比、個人消費割合が過去最低を記録したことは、以上の懸念が深刻な段階に達していることを直接的に反映している。

したがって、個人消費が過去最低を記録したことは、次のことをはっきりと警告している。関係部門は、このシグナルが含む危険な情報を正視し、就職率を増加させる術を考え、人民の収入を向上させ、住宅価格、学費及び資源性製品の価格上昇を阻止するとともに、社会保障システムを段階的に構築すべきである。こうすることによってはじめて、個人消費が下降局面を脱し、経済成長を推進する力となる。