【大紀元日本12月5日】北京はここ数年、都市開発を進め、旧市街地は殆ど全部取り壊され、新しいビル群が高くそびえている。しかし、北京の古い住民はまるで災難にあったかのようだ。殆どの住民は一般人で商売もしておらず役所勤めをしているわけでもないので、毎月のわずかな収入でかろうじで生計を営んでいる。北京の住宅価格はニューヨークや東京に迫り、庶民にとっては天文学的数字になり、旧市街改造に振り回されて安定な生活を失い、ビルを眺めながらため息をつく毎日である。
北京に古くから住む住民は市内に住み慣れて旧居は離れがたき、新しい住所はすべて遠いところにあり、古くからの隣人はいない、買い物や診察などもすべて難しくなった。そして物件価格は絶えず高騰し、政府からの「改造補償金」では物件は買えない。日々上昇する物件価格に比べ、手に入れたお金は日ごとに購買力が実に落ちている。ローンで家を買おうとしても返済能力がない。北京の住宅価格は約50万元で、労働者の40年間の賃金に相当する。
低収入市民層への配慮として、北京政府は住宅価格は比較的低く抑えた経済型住宅を続々と建てているが、市民に割り当てられる前に不動産会社が賄賂を使って闇で経済型住宅を購入し、市場に高価で売って暴利を儲けている。一般市民はなかなかこのような経済型住宅を手に入れることができない。もっとひどい話だが、この経済型住宅の購入権利書の売買をして儲ける人もいる。
車さん(男)は元々小江胡同(※「胡同」とは古い町並みが残る地域、日本語の「横丁」に相当)に住み、小江胡同が取り壊された後に政府から比較的に低価格で経済型住宅2軒を購入できる権利書を得た。しかし、その権利書を持って関連官署に申し込んだが、3年間も経っても住宅はまだ割り当てられていない人もいると聞いて、とても気落ちした。しかしある日、ある不動産仲介会社から彼所持の権利書を一つ3万で購入するという電話を受けた。このような「空っぽ」の権利書を買っても意味があるかと彼は不思議に思って尋ねると、経済型住宅の購入権利書は売買でき、市場では現在13万元の高値がついたことをはじめて知った。
殆どの北京市民は家が買えないため、元の家が取り壊された後に部屋を借りて暮らしている。人々はそれを「移り回り」と称する。郭春英さんは元は草場6条に住んでいたが、「改造」後、政府から40数万元の補償金を受けた。それから彼女は家を買おうとして、あちこち回って何十カ所を見たが、劉家窯にある一軒の中古物件は47万元、広渠門にある中古の家が57万、本当に高すぎる。そこで彼女の一家は2LDKの賃貸物件を借りて、家賃は毎月2千元だ。数ヶ月経つと、その47万元の物件は62万元に、57万元の物件は72万元までに値上がった。10ヶ月の間北京の住宅価格は70%も上がった。郭春英さんの所持金の実質購買力は半分まで下がった。
補償金を受けて新しい家を買ったが、その後の生計に困った北京市民もいる。王徳明さんは元々大柵欄に住んで、今70万元で140㎡の家を買った。この70万元は王徳明さん所有の3ヶ所の不動産が市街改造で取り壊されたために受けた補償金である。一つは河北省滄州市にある義理の父の遺産で400㎡余りの庭付き住宅だ。政府から受けた補償金は35万元でちょうど新宅の頭金にした。もう一ヶ所は妻の勤め先から買った一部屋の平屋で、改造時8・5万元の補償金を受けた。もう一ヶ所は大柵欄石炭市場にある1軒21㎡の店舗で、それは彼の父が解放前(1949年前)に買ったものだ。
王徳明さんは都市に戻ったいわゆる「知識青年」で、帰京後安定した仕事に就くことができず、一家の家計は妻の給料に頼る。妻が定年退職した後、年金は毎月800元しかない。2003年、王徳明さんはこの店舗の所有権を得て雑貨屋を開き毎月1000元余りの収入を営んで、かろうじて一家の生活を維持した。しかしそれから間もなくこの店舗は市街改造で取り壊され、政府から22万元の補償金をもらった。そして早垣xun_・しの奨励金として5・5万元を受け取り、全部で28万元弱だった。
王徳明さんは新居に移った。家は広くなったが、以前毎月1000元余りの雑貨屋の収入がなくなり、新居の管理費は毎年3000元前後、暖房費は4400元前後で、多めに使った水道電気の代金を含めて毎年1万元弱になる。この金額はちょうど王徳明夫婦1年間の総収入に相当する。家は買ったが彼らの生計が破綻している。現在これらの費用は28歳の息子が負担してくれているが、息子は来年結婚する予定で、今後恐らく負担することができない。王徳明さんは今後の生活を心配している。
北京天安門近くはもうすぐ取り壊され、この年寄りは故郷である北京を離れる段取りをしている=2006 年3月6 日(China Photos/Getty Images)
北京は2008年オリンピックを迎えるため、古い市街地を取り壊している=2006 年2月27 日、粗末なテントを家にする男子。(China Photos/Getty Images)
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