【大紀元日本12月3日】中国国営放送局中央テレビはこのほど、世界の列強が強国となる過程を紹介した12回シリーズのテレビ番組「大国の台頭」を中国全土で連日放送し、話題を呼んだ。中国共産党(中共)が総力を挙げて制作したこの番組は、重商主義や軍備強化、権威主義などの論調をアピールしており、近年国際社会が懸念する「中国の台頭」論に対する中国の回答であると見られている。同番組は、中共政権をイメージアップし、「軍事と経済的権威」として世界制覇の野望を国民に訴え、失われた中共の求心力を再生し、同党が現在直面しているあらゆる危機を超え、政権を延命する狙いであると見られている。
「我々の発展は21世紀の一大事であり、我々はどの道を選ぶのか世界に注目されている」―先月13日から24日、中国中央テレビ局が全国視聴者向けに連続放映した12回シリーズの政論番組「大国の台頭」で、このように表明した。同番組は、ポルトガル、スペイン、ホーランド、イギリス、フランス、ドイツ、日本、ロシア、アメリカなど9大強国の盛衰の歴史を紹介した。番組は全国で宣伝され、インターネット上、政論専門家、政策研究者と番組制作者が連日、視聴者とオンライン交流を行い、更に、27日からは、全国で再放送を始めた。中国語グーグルで番組の名前で検索すると、155万個の関連ページが出るほど熱い話題となっている。
同番組は当局が3年掛けて作った大作。製作チームは、北京大学歴史教授、北京大学国際関係学院院長及び中共中央党校国際戦略研究所所長など中共の宣伝責任者からなる。番組で伝えられている観点は中共政権の立場を代表していると見られ、中共のイデオロギーが解体する前の再包装である。
テレビ放送と同時に、中共中央政治局のメンバー全員が「大国の台頭」研修コースを集団学習しているという。
中共当局のこの動きに、国際メディアが高い関心をしめしている。BBC放送は、「大国の台頭」は宣伝番組であり、中国の未来の方向性について明確に伝えており、それは重商主義や軍備の強化、権威主義であると評した。「この番組は、中国の発展についての考えをはっきり伝えている、つまり、先取先勝、世界の発展は経済の発展であり、経済は武力、技術と戦争を通して獲得できる」という。BBCの評論は、「世界が懸念するのは、現在の中国の強大ではなく、中国が強大になった後、何をしたいかである」ことを強調した。
この番組が伝えている強権論理は、中国発展論の最大の欠陥であり、強権は公正原則よりも上に立つという考えのほか、「君子の復讐は、10年でも遅くない」という復讐意識も番組から伺える。
中共当局が「中国の台頭」論を出して以来、西側社会は中国の台頭手段、それの国際秩序に対する影響に対して常に注目している。中国問題の専門家は、「大国の台頭」番組は、国際社会の懸念への答えであると指摘した。過去の_deng_小平時代の「才能を隠して外に現さない」策略とは違って、最近の中共の国際戦略は徐々に進撃性の方向を向け、対内外とも強硬な政策を取り始めたという。
海外の中国民主化運動派雑誌「北京の春」の編集長・胡平氏は本紙の取材に対して、中共当局が「中国の台頭」番組を制作した目的は、共産中国の大国である存在を表明すること、強国のアピールにより自由を圧制することにあるという。
「中共当局は、常に強制的に一つの大きい目標を制定しようとしている。革命の方法によるか、国を強くする方法によるか、何れも最後この目標を大義名分にあらゆる声を圧制しようとしている。中国全社会の全国民にこの目標を達成するため個人を犠牲し、圧制を合理化しようとするのだ」と胡編集長は言う。
中国山西省のベテランテレビ・プロデューサー馬しょう明氏は本紙の取材に対して、中国人は勤勉な労働と巨大な環境及び資源の代価で、中国経済発展の成果を得たが、政治上では未だに独裁制度を採っているため、中国経済の発展は非常に危険であると指摘した。馬氏によると、中国の台頭として、戦前の日本やナチスドイツ、旧ソ連共産党独裁などいろいろなパターンが考えられるとし、これらの台頭は、人類にとって災難であると指摘した。馬氏は、中国は政治改革を行わなければ、国民が閉じされたナショナリズムを変えなければ、中国の台頭は恐らく、そのような台頭パターンを辿ると指摘した。
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