中国:キリスト教家庭教会指導者ら、秘密裏に死刑執行される(訂正記事)

2006/12/04
更新: 2006/12/04

【大紀元日本12月4日】(※2日に掲載された記事に不正確な記述があり、おわびと共に訂正記事を再掲載します)米国「対華援助協会」(本部・テキサス州)の声明文によると、中国共産党(中共)政権はこのほど、殺人罪に問われていた被告のキリスト教家庭教会信者15人に対し、秘密裏に死刑を執行した。弁護人らは、本件に関する法的審理は根底から違法であると指摘、被告人らの無実を訴え、中共政権による宗教弾圧の一貫であるとの見方を示した。

11月下旬に中国のキリスト教家庭教会「三班僕人」の指導者・徐双富氏李毛興氏王軍氏が黒龍江省で秘密裏に死刑を執行された。

「三班僕人」は、約100万人の信者がおり、中国当局の公認を得ていない家庭教会の1つ。その指導者・徐双富氏(男性、60歳)は、1990年代初めに、「三班僕人」を結成。徐氏は、14歳の時にキリスト教に入信し、これまでに「反革命」や「社会治安を騒乱する」などの罪で2回にわたり有期懲役を科せられ、10年以上投獄されていた。また、伝道活動が違法行為と指摘され、幾度も強制労働収容所に収容されたことがある。

今年3月と7月に法廷審理が行われた。当局の起訴状によると、2003年3月から2004年の間に、山東省や、江西省、四川省などの7つの地区で、徐双富氏と16名の「三班僕人」メンバーが、同じキリスト教家庭教会の「東方閃電」信者20人を殺したという。決め手となる証拠は、被告人たちの自白。これまでに本案の被告人22人が死刑判決を受け、12人はすでに刑が執行され、そして今回新たに前述の3人が秘密裏に死刑を執行された。

判決には物的証拠が乏しく、被告人らの自白しか得られていない。今年3月に開かれた黒龍江省双鴨山市中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)一審で、徐双富氏などの被告人らは警察の取り調べで拷問により自白を強要され、拷問に耐え切れず罪状を認めたと法廷で主張し、一切の容疑を否認した。被告人の一人はその場でズボンを下ろし、拷問の傷跡を見せた。一方、法廷側は被告人たちの主張を完全に無視。内部情報筋によると、被告人の1人は2004年4月27日に拷問され死亡したという。

大紀元の取材を受けた本件の弁護人・李平和氏は、「判決書もないまま、家族と弁護士も知らされず、最後の面会も許されず、3人は秘密裏に死刑が執行された。執行後一週間たった11月29日に裁判所は初めて刑の執行を弁護人である私に通知した。これはあまりにもひどいやり方だ」と語った。

また、同弁護人は、「本件の被告人は全員キリスト教信者であり、刑事事件として起訴された。起訴状に宗教問題を言及していないが、背後には不透明な要素が存在する」と指摘し、「本件は証拠が非常に乏しい上、審理の過程も違法であり、自白を得るために、捏造した事実を認めるよう強要、認めるまで拷問を続けた。被告人らは指を押さえられ、自供書に捺印させられた、拷問による死者も出ている」ことを明らかにした。刑事訴訟法の規定により、その他の証拠がないまま、被告人の自白だけで、罪状を確定できないとの世界共通の原則を挙げ、拷問により得られた自白を採用しないことは刑事訴訟の基本であると指摘し、本件の審理は根底から違法であると非難した。

中国宗教迫害真相調査委員会の発起人・李世雄氏は、「これは明らかに宗教迫害である。全世界のキリスト教信者、あるいは正義ある人々は、この問題に関心を示し、中共政権に『このような人たちはなぜ秘密裏に死刑を執行されなければならないのか』と問い質すべきである」と語り、中共政権は「名誉を貶し、経済を封鎖、肉体を消滅させる」手段を用いながら、国内外でメディア宣伝を行い、「三班僕人」を含め国内のキリスト教家庭教会は異端であるとの濡れ衣を着せていると指摘した。また、同氏によると、多くの外国の教会と信者が中国に行き、中共政権に本件の被告人らの釈放を求める予定だったが、中共政権の策略により関係者らは救援活動をやめたという。今回処刑された徐双富氏について、李氏は「彼は敬虔なキリスト教信者。神の存在を信じる人は殺人などするはずがない」と語った。

本件に注目している民主活動家・範子良氏からも証言が寄せられた。範氏は2001年3月中旬から同年12月下旬までに、今回処刑された李毛興氏と一緒に浙江省十里坪強制労働収容所に収容されていた。李氏の人柄について、以下のように証言した。「李さんの経済状況も苦しいものだったが、貧しい囚人を常に労わり、金銭援助していた。私は当時極度の栄養不良により、歯がボロボロに抜け落ち、胃痛が激しく、寝たきりの状態に陥っていた。李さんと別れる際に、彼は私にお金を残した……。その後、私に蜂蜜を買ってきて、体を大事にするようにと再三強調した。彼自身も経済状況が厳しい中、赤の他人の私をこのように労わってくれた。このような人徳の高い方が、人を殺すとか、殺人を指示するとか、あり得ないことだ。私は自分の人格、いや、自分の命をかけても、彼は人を殺すような人間ではないと保証できる」と話した。

また、範氏は、米国を含めた民主国家の政府、人権団体、民間組織などに対し、正義を堅持しながら無実の罪で投獄されるキリスト教信者を救援するよう嘆願した。

徐双富氏の妹は、兄が獄中で受けた拷問を暴露したため逮捕され、拷問により精神分裂病を患ったという。

注:家庭教会は、地下教会とも言われ、個人の家などで小規模な信仰活動を行い、バチカンに追従するキリスト教組織など、中共政権の正式な認可を受けていない非公認の教会を指す。中国の現行の法律では、宗教活動は政府部門の宗教局が指定した場所と時間に、宗教局が認定した聖職者によって行なわなければならない(略して「三定」という)。その「三定」に違反する活動はすべて邪教と見なされ、厳しく取り締まられている。家庭教会はこのような状況で生まれた秘密教会のことだが、信者はカトリックが1000万人,プロテスタントは約6000万人と言われている。家庭教会に対する中共の弾圧は、人権を著しく侵害するものであると国際社会から非難されている。