【大紀元日本11月7日】2008年に総統総選挙を控える台湾の与党・民進党で、7月の娘婿のインサイダー疑惑に続き、今度は陳水篇総統夫人を中心に官費の流用疑惑事件が持ち上がった。台湾高等検察署は3日、陳水扁総統夫人・呉淑珍氏ほか政権中枢の側近4人を国家機密費50万ドル(約6000万円)の流用容疑で起訴した。
高等検察署はまた、陳総統も起訴することができる証拠を十分に有していると示唆したが、総統は憲法の規定により、任期中には刑事起訴から免れる。今回の事件で陳総統が率いる民進党の内部も動揺し始めたため、陳総統は5日、テレビによる全国放送を通じて、台湾国民に向かって国家機密費についての説明を行った。
陳総統はテレビ中継で、国家機密費事件が国民にもたらしたマイナス影響に対して詫びると共に、検察官の懸命な働きに敬意を払った。しかし、陳総統は、検察官の調査内容に対して議論すべきところがあると主張、虚偽の告発は政治家にとって「政治生命の死刑」を言い渡されるほどに等しいのだと内面の心情を語った。
陳総統は、現職務に就任して以来、自ら(の過失に)減俸を科し、8年間で減俸された金額は4400万元(約1億7600万円)に上るとし、また2002年より、歴代総統が持つ国家秘密帳簿資金も全額を国庫に納入したなど、幾つかの例を挙げて、汚職する必要はないと潔白を主張、最後に「清廉潔白である名誉は命より大切であり、個人の進退は小さくて取るに足りないものだ」と語った。
陳総統は、「裁判で今回の事件が汚職であると判断されたら、直ちに政権を離れる」と明言、「自分は台湾を愛し、国家を愛し、一部の機密は公開できなく、その分自分で誤解や不当な仕打ちを忍んでいる」と強調した。大陸中共の「一つの中国」に対抗し、選挙前の公約から「台湾のアイデンティティー」を標榜してきた陳政権にとって、今回の不正疑惑は思わぬ逆風となっており、「北京詣で」に執心の野党国民党の「赤い」巻き返しが懸念される。