【大紀元日本11月6日】国際人権保護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、北京当局は9月に、50余りの「不法」と言われる出稼ぎ労働者の子どもが通う学校を強制的に閉鎖したため、多くの児童が勉学の機会を失うことになったという。北京当局が2008オリンピックに向けて、明らかに中国政府の批准した国際条約及び中国の自らの法律に背いたとヒューマンライツワッチは非難した。
学校閉鎖の本当の原因―2008年北京オリンピック
これらの学校を閉鎖した理由は、北京市政府が、当局からの審査を経ていないや、標準に達していない、合格教師の欠乏、教育環境の不備、食品衛生管理の不手際などをしている。これらの学校の取り締まりについて、当局は「流動人口の子どもの安全及び義務教育の質を保証する」ためだという。しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチ団体は先月、北京当局の本当の目的は2008年オリンピック準備のためであると発表した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究員ザーマ・カオセン-ニッフによると、北京市政の官僚が9月中旬に、2008年北京オリンピックの時に約百万人の出稼ぎ労働者をどのように追い払うかを討論した。出稼ぎ労働者は北京オリンピック施設建設のために大きな貢献をしているが、学校から追われた彼らの子どもに、政府は替わりの学校を提供するための措置を一つも取っていないという。
子どもの権利公約
中国の新華社関連サイト中新ネットによると、北京市に出稼ぎ労働者の子どものために作った239ヶ所の民営学校は政府の許可を得ていないという。これらの学校は1万人近くの子どもに教育のチャンスを提供している。しかし、北京当局は先月、これらの学校に対して、学生をほかの公立学校に行かせるか、国の規範を合わせるか、あるいは取り締まるかとの指示を下した。同時に取り締まる前に、学生を他の学校へ転校させる手配をしなければならないとの要求を出した。
カオセン-ニッフ研究員は、中国政府は学校を監督する権利を持っているが、中国は国連において子供の権利条約の締約国であるため、国際法規を守る義務もあると指摘した。つまり、締約国は、「その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生または他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、および確保する」とされている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、北京には出稼ぎ労働者の子どもが約37万人いる。そのうちの62%の子どもが公立学校に入っているという。この239箇所の民営学校は、出稼ぎ労働者の子どもが教育を受けられない状況下で誕生され、まさに中国政府が国際法規を守っていないため、完全に子どもに義務教育を提供していない問題から生じたことであるという。
出稼ぎ労働者の子どもはどうするのか
事実上、公立学校が要求している各種の証明書類は出稼ぎ労働者にとって、必ずしも持ち出せるとは限らない。たとえ一部の人は必要な証明書類を出せるとしても、高い授業料が彼らの子どもを校門の外で拒む。今、出稼ぎ労働者の子どもが通った学校は閉鎖されたが、ほかの学校は彼らに対して門を開いていないとニッフ研究員は指摘した。
専門家:義務教育の道程は依然として遠い
新華ネットは先日、北京大興区瀛海鎮にある出稼ぎ労働者の子どもの通う学校は強制的に閉鎖された。百人近くの学生は締め出されて、学生の父母が政府関係の警備と衝突したと報道した。
学生の父母は、子どもが指定された転校先は学生が多すぎで、通学の道のりが遠くなっており、または下水溝のすぐ隣に位置すると、不平をこぼしている。
一方、報道によると、北京海淀区政府が、これらの「不法」とされる学校に対する取り締まりの実行を遅延させている。
この問題について、社会学専門家、北京理工大学教員・胡星闘氏が北京市政府に提出した報告の中で、「北京の公立学校の大門はすべて出稼ぎ労働者の子供に開放しているように見えるが、しかし現実は違う。全ての子どもが平等な義務教育を受けるという我々の理想は現実より遥か遠い」と述べている。
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