【大紀元日本10月27日】中国大陸の最新観測データによると、中国北部の遼東半島と山東半島に挟まれた海域・渤海が、中国海洋生態系環境の中でもっとも深刻な汚染を受けていることが明らかになった。専門家らは、直ちに措置を講じなければ、10年後は死の海になると警告している。
中国共産党(中共)機関紙・人民日報の報道によると、基準値を超えた大量の工業廃水、生活排水、工業および生活ゴミ、農薬、化学肥料などの汚染廃棄物が渤海へ流し出たことが渤海の環境汚染を悪化させた原因であるという。また、渤海へ排出した廃水は毎年56億8000万トンで、中国全土廃水量の17・9%を占めており、渤海へ流れ出たその他のゴミ・廃棄物は毎年216万トンで、中国全土のゴミ・廃棄物の8・5%を占めているという。
海洋専門家らは、今から廃水を一滴も渤海へ流さずに、外海との交流による自然浄化に頼る場合でも、奇麗な海水に回復するまでには、少なくても200年かかるという。
データ数値によると、2001年から2005年までの渤海・汚染海域総面積は1万9000から3万2000平方キロメートルで、総面積の24~41%を占めているという。内陸からの廃水やゴミ・廃棄物による汚染は、渤海周辺の生態環境を悪化し、生物資源が激減し、特に廃水や廃棄物の排出口から5000平方キロメートルまでの海域水質指標は5段階の「4」および「劣等4」にまでランクダウンされ、水中生物はすでに全滅しているという。
中国国家海洋局北海支局関係者は、渤海地区の入り江112箇所に設けられた観測所の測定データにより、廃水・廃棄物の排出口の7割の設置が、海水養殖区、観光区および環境保護区にあることを明らかにした。一方、定められた排出区に設置されたものはわずか7・8%であり、基準値より超えた廃水・廃棄物の排出は81%を占めているという。
統計によると、渤海へ排出された廃水・廃棄物は渤海の汚染の87・5%を占めており、中には永久持続性のあるものおよび劇毒類の汚染物質も含まれているという。
専門家らは、渤海地区では工業が発達しており、人口密度が高く、毎年数十億トンの工業廃水や生活排水、都市廃水のほか、数百億立方メートルの河川の汚染が渤海へ流れ込んでゆくことから、渤海付近海域の環境汚染が深刻になっていると指摘した。また、渤海は中国で唯一の半閉鎖型の湾状内海であるため、水質改善は極めて難しいが、何らかの措置が急務であると警告した。
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