19ヶ月にわたり中国でエイズ予防活動を行っている民間組織「雪蓮花エイズ教育研究項目(以下、雪蓮花)」は10月18日、事前通告もなく新彊当局に取り締まられ、オフィスが閉鎖された。組織の責任者で新彊師範大学4年生の常坤氏は当局による脅迫を受け、ノートパソコン等が押収され、強制的に18日夜にウルムチ市から退去させられた。
常氏は、雪蓮花が取り締まられた原因は、少し前にウルムチ市教育部門に強制的に退学させられた19人のB型肝炎中学生のために、裁判所に対して教育局を訴えたからだとみている。同氏および雪蓮花の数人のボランティアは、何度も警察による尋問調査、脅迫を受けたことを明らかにした。
今年9月、ウルムチ市教育部門より入学資格を取り消すの決定通知を受けた19人の内、7人はウルムチ市教育局を訴え、10月18日にウルムチ市天山区裁判所は正式に受理した。
7人の弁護側で西部法律事務所主任の張元欣氏は取材に対して、中国ではB型肝炎キャリア数が多く、彼らに対する差別も深刻であると強調した。教育部門が強制的に学生を退学させたことは、客観的にみても子供たちを差別し、教育を受ける権利を剥奪したと指摘した。張氏は不公平を受けた人たちに法的援助をすることは、子供たちのためだけではなく、社会全体の盲目な危惧および無感覚を
写真は湖南省の一部B型肝炎キャリアたち(取材先提供)
原告側が提訴した際の費用支払い控え(取材先提供)
取り除くためでもあると強調した。
一方、ウルムチ市第十五中学校を含む4つの中学校の学生19人が退学させられたことに対して、十五中学校の校長アシスタントの殷秀琴氏は、今回が初めてのことではないとし、昨年に同中学校も12人の学生がB型肝炎キャリアとのことで退学させられたと強調した。
雪蓮花は2005年3月16日設立してから、エイズ予防の宣伝教育活動を積極的に行って来た。また、2005年11月より、B型肝炎予防宣伝教育活動へ展開し、B型肝炎に関する知識を広げ、キャリアに対する差別を取り除くように尽力した。2006年、雪蓮花は「エイズ、結核およびマラリアのグローバル基金」のNPOの申請がおりた。
しかし、このことが国内メディアに報道されてから、常氏は2週間の内何度も警察に強制的に連行され最長7時間を及ぶ尋問が行われたという。さらに、当局は常氏の自宅を家宅捜査し、多くの私物が押収された。常氏は当局よりの重圧で精神的に強く打撃を受けたという。
常氏は、中国のエイズ予防活動の中で、民間組織は重要な役割を果たしているとし、登録していない組織の活動は、国内外において、広く認められていると強調した。同氏は、当局は雪蓮花を取り締まること自体が、中国共産党政府がエイズ予防活動に参加する民間組織を奨励していることに背いていると指摘した。
常氏は、19人の学生がB型肝炎キャリアを原因に強制的に退学させることは、非人道的で差別行為であると指摘し、学生を助けることは正当であると主張した。同氏は、当局に対して、雪蓮花に対する取り締まりを撤回し、ボランティアたちおよび同氏の両親に対する脅迫と嫌がらせを止めるように呼びかけた。
流行病学に於ける調査で、中国では1・2億人以上のB型肝炎キャリアがいるという。彼らは差別を受けていることは普遍的な現象であり、保育園の入園、入学、就職、結婚、社交等諸方面において、差別・排斥されている現状である。
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