【大紀元日本10月23日】北朝鮮の核実験が発生してから、世界各国が問題の対応に取り込んできた。国連での制裁決議案の可決や、米国ライス国務長官の関係諸国の歴訪、中国当局の行動的な動きなどが多いに注目されてきた。それについて、専門家らは、中国当局の裏の顔を分析した。
ワシントン・ポスト紙=北朝鮮の核実験は中国当局の問題
ワシントン・ポスト紙のコラム作家エプル・ポーマン氏はこのほど同紙にて、「これは中国当局の問題」と題する評論文を公表し、『中国当局は北朝鮮の核実験を「完全反対している」が、本心で北朝鮮を制裁するであれば、ピョンヤンとのすべての貿易を中止するだけでことが済む。それに、北朝鮮と近隣するのは中国であり、本来ならば、中国が最も北朝鮮の核脅威を受ける国である。そのため、今回の核実験は米国の問題ではなく、中国当局の問題であるのだ。そのほかにも、北朝鮮は中国との国境付近で、核実験を行ったため、中国が受ける核汚染のリスクも一番高い』と指摘した。
また、ポーマン氏は、中国当局は国連安保理の他の理事国よりも更なる多くの方式で北朝鮮を影響できると指摘、「中国当局は金正日政権の崩壊を望んでいるならば、北朝鮮へのエネルギー供給や、食品の提供、貿易往来を止めれるだけでことが簡単に済む。さらに言えば、国境を開放し、50万人の難民の入国を認めれば、金正日政権に十分なダメージを与えられる。一方、現実は、中国当局は国境を往来する車両を象徴的に検査するだけに留まり、その反面、中国は国連の制裁決議案を執行しているとメディアで大々的に宣伝している。また、中国当局は、いまだに北朝鮮への海運物質の検査を拒んでいる、北朝鮮に核原料を獲得する裏道を与えている」と述べた。
中国当局は北朝鮮の最大支援国家
専門家は、中国と韓国が北朝鮮に親和政策を講じる中、国連の制裁は北朝鮮に与える影響は限定的とみている。
北朝鮮の第二の援助と食糧供給国である韓国は、北朝鮮の開城工業区および金剛山での観光事業で、金正日政権と数千万ドルの協力プロジェクトがある。これらの資金は、金正日政権への送金で、核兵器の開発に使われていると非難されている。北朝鮮の核実験後、韓国政府も国内圧力の中、対北側の陽光政策の見直しを検討し始めた。
政治評論家・陳破空氏は、中国当局は北朝鮮の最大な支援者と保護者であると指摘、対外食糧援助の9割は北朝鮮に送られている。また、北朝鮮の6割の燃料も中国当局が提供、中朝国境地帯では、燃料を北朝鮮に送るパイプラインが設置されている(これは日本のテレビ報道で映像で伝えた内容であり、ここに足しました)、それに加え鉄道運送と併用で、計約7割の原油を供給している。北朝鮮の核技術と核原料はパキスタンが提供しているだが、実際には、パキスタンの核原料と核技術は中国当局が提供している。
韓国政府の統計データによると、中国は北朝鮮の貿易額の39%を占めている、中国当局は北朝鮮の最大の貿易相手。丹東市や、延吉市などの国境都市では、毎日北朝鮮のトラックが往来、中国の食品と日用品を北朝鮮に運送している。中国当局の統計データによると、北朝鮮の昨年度対中輸出額は5千万ドル、輸入額は17億ドルに達する。
中国紙「中国経営報」は、中国当局の統計を引用、2001年から2005年、中朝両国の貿易額が倍増、15・8億ドルに達し、今年上半期までに、中国企業による北朝鮮での投資は44項目の13億に上り、投資分野は、食品や、電子、化学工業、医薬、軽工業、洋服産業、建築材料、鉱業、飼料、運送業などである。中国当局も国内企業の北朝鮮での鉱業投資を促進している。
政治博士・李笑天氏は、中国当局は北朝鮮で大量に投資していることや、ピョンヤン市内の最大の百貨店は、中国の投資であるなどと明らかにし、「中国当局と北朝鮮は、中国の世界での唯一の軍事同盟国であり、北朝鮮は中国当局の力を借り、米国や西側国家から最大限の利益を引き出そうとしている」と指摘した。
北朝鮮は国内問題を転換するために核実験か
北朝鮮と中国当局の関係は非常に複雑、表面上、中国当局は金正日政権を制御できないと見えるが、実際には、北朝鮮は中国当局の援助によって、崩壊の危機から逃れている。李天笑氏は、「中国当局は長い間、北朝鮮の問題を用いて自分の目的を達成しようとしている。米国とのやり取り、台湾問題、東南アジアの情勢などが含まれている。
北朝鮮は表面上中国当局と摩擦がある。例えば、朝鮮戦争後に、中国軍を追い払ったことや、国内で中国当局の援助を言及しないことなどがあり、時には、『親中派』を取り締まり、昨年には国境地帯で北朝鮮の軍人が中国の兵士を銃殺する事件まで発生、北朝鮮はいまだに殺人犯の身柄を引き渡していないことなどが発生した。しかし、北朝鮮の運命を握る中国当局は抗議するに留まり、「中朝友好互助条約」の改正すら行われない。
今回の北朝鮮核実験について、国際社会は金正日政権は経済利益を獲得するための策略であるとみている。ある報道では、国内の深刻な社会問題を転嫁し、政権を補強するための得策であると伝えている。陳破空氏は、「中国当局は北朝鮮の後ろ盾、北朝鮮は、中国当局が米国と対抗するための切り札。中朝両国の摩擦は、中国当局が北朝鮮の核危機が激化する際に、有利な立場を保つ駒である。このことは、中国当局が北朝鮮の核実験後の対応からはっきりしている。評論家は、「中国当局のこの決断は、一定の犠牲を払うことで、更なる利益を確保する狙いがある」と指摘した。
中国国内では、危機が続発している。独裁政権と人権抗争の衝突や、政権内部で一触即発の状況である。中国の生体臓器強制摘出の告発への国際調査は、各国の政府と民間団体に重視されている。そのことは、中国当局を不安にさせている。北朝鮮はそのときに核実験を起こし、国際社会の焦点を再度朝鮮問題に集結させた。早急に解決すべきイランの核問題も棚上げされた。それらの状況を総合してみれば、北朝鮮核実験の最大の受益者は、イランの石油を欲しがっている中国当局であり、「孤立」された北朝鮮ではない。米国は、北朝鮮がテロ組織の「核マーケット」になるのを憂慮しているが、タリバンや、ハマス、共産党系武装勢力と友好関係にある中国当局はまったく心配していない。
しかし、一部の人は、北朝鮮の核実験は中国当局内部の権力闘争の結果と推測している。中国の胡錦涛・総書記は就任直後、「意識形態では、北朝鮮を学ぶべき」と宣言し、最近では「調和なる社会」のスローガンを推進している。しかし、北朝鮮の今回の核実験は胡錦涛派に恥をかかせ、中国当局が北朝鮮を制御できると確信していた国もショックを受けている。
中国当局は北朝鮮難民の大量流入を憂慮しているか
中国当局が唯一心配しているのは北朝鮮難民の大量入国。報道によれば、中国当局は北朝鮮との国境・丹東市近郊に、鉄網の柵を設置した。中国当局は国境で北朝鮮対策を初めて講じた。大量の北朝鮮難民の流入を防ぐためという。米国政府の試算によれば、近年、1~3万人の北朝鮮難民が中国に流入したという。その他の方面の統計によれば、この数字は30万人に達するという。
一方、中国当局による北朝鮮への毎年の援助は、北朝鮮難民を受け入れる能力を遥かに超えている。ロイター通信は、「中国当局は北朝鮮難民を逮捕、強制送還し、拷問や、監禁を受けさせている。それは、金正日政権を維持し、朝鮮半島における米国勢力の拡大を防ぐため」と報じた。また、北朝鮮で投資している中国企業が撤退し始めていることについて、多くの実業家は、投資の回収をあきらめているという。
(記者・尚善)
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