【大紀元日本9月25日】「自分の思い通りに動く義肢」を身につけた女性が14日、記者会見でその動きを披露した。この義肢は「シカゴ・リハビリテーション研究所」が開発した「バイオニック・アーム(bionic arm)」で、筋肉の力で動かす従来の義肢と違い、頭で思った通りに動かす事ができ、より人間の腕の機能に近いという。
同研究所のトッド・クイケン(Tod Kuiken)博士は、研究班と共に、バイオニック・アームの開発に取り組んできた。米国立衛生院のマイケル・ウエインリッチ(Michael Weinrich)博士は記者会見で、「クイケン博士の研究は、彼ら(義肢を使う人たち)に前例のないほどのコントロール能力を与える事ができる。重要なことは、患者らがこの義肢を非常に自然に感じると報告していることだ」と語った。
クラウディア・ミッチェルさん(26)は2004年、バイク事故で左腕を失った。翌年、彼女はバイオニック・アームを取り付けるための手術を受け、今では洗濯物をたたんだり、ビンの蓋を開けたり、野菜を切ったり出来るようになった。ミッチェルさんは、「ポピュラー・サイエンス」誌に掲載されていたジェシー・サリバン氏の手記を見てバイオミック・アームの存在を知り、クイケン博士に連絡、検査の結果適合したという。
ミッチェルさんによると、切断で失っていた腕の機能を取り戻し、バイオニック・アームという科学技術の最先端に参加した事は、「腕の切断で感情的に困難だった状態を克服する助けとなった」という。ミッチェルさんは、「昨日は、腕を切断して以来初めてステーキを切ったの」と微笑んだ。
ミッチェルさんが利用するバイオニック・アームは、脳に繋がる腕の神経を利用して機能する。腕の神経は、肩で切断されても、一部は生きており、脳に繋がっている。それら生きている神経を、外科手術によって胸の筋肉の神経組織へ繋ぐ。神経を繋がれた胸の筋肉は、脳から発信された電気信号によって収縮するため、装着者の「意志」をより増幅させる効果がある。この筋肉の収縮を、皮膚の上に取り付けられた電極が読み取り、コンピューターが解析して義肢が動く仕組みになっている。この義肢を動かす時は、「ただ考えるだけ。手を開きたければ開くし、ひじを下げたければ下がる。私はただ考えればいいだけ」とミッチェルさんは言う。
新しい義肢をつけて、生活がますます楽になってきた元海兵隊員のミッチェルさんはすでに現役生活は無理であるが、その外郭団体(海兵隊隊友会;YOUNG MARINES AND MARINES HELIPING MARINES)を通じ、たびたび陸海軍のメディカル・センターを訪れ、イラクやアフガニスタンから復員して手足を切断された軍人たちを励ましているという。米国では、毎年50,000人もの人が腕や足を失い、そのうち多くの人は戦場から復員してきた軍人だという。
クイケン博士は、このバイオニック・アームがまだ本当の腕のようになるまでには遠い道のりがあることを知っている。クイケン博士は記者会見で自らの手を上げ、「これは、宇宙で最もすばらしい機械だ。力、器用さ、感覚、能力。これらにおいて、人間の腕を凌ぐものはない。我々がやろうとしていることは、失ったものを再生することだ」と述べた。
クイケン博士は将来、義肢をつけた人が熱さ、冷たさ、圧力などを感じることが出来るようにしたいと話す。更に、彼は思考でコントロールできる義足の開発も助けたいと希望している。。