中国甘粛省: 製錬工場汚染、村民2000人鉛中毒

2006/09/07
更新: 2006/09/07

【大紀元日本9月7日】中国甘粛省徽県水陽郷の村民が最近、相次ぎ体の不調を訴え、血中鉛の測定を行ったところ、鉛の含有量が基準値を超えていることが分かった。鉛中毒を起こしている村民はすでに2000人を超えており、うち約340人は子ども。専門家は、水陽郷新寺村の側にある鉛塊製錬工場が原因であると見ている。現地には病院が少ないため、村民と付近の住民は、隣省の西安市で治療を受けているという。

村民によると、新寺村から数百メートル離れた、学校の付近に鉛塊製錬工場が十数年前に建ち、汚染が広がったために今回の鉛中毒をもたらしたという。被害が最も多い場所は、新寺村6個組および牟壩村1個組で、2000人余りに波及したという。

調査によると、村の373人の児童のうち、90%以上が中毒と診断され、成人の多くも基準値を超えている。 1歳2ヶ月になる幼児は血中鉛含量が1リットル中619mgと診断され、最も重い中毒。6歳になる姉も鉛中毒で入院したという。鉛塊製錬工場の工員である父親・白志強氏は自分の子供が鉛中毒にかかっているとは知らずに、ただ病弱であることしか分からなかったという。

白氏によると、300人以上の工員がいるこの工場は、国営から私営に変わり、安全管理はほとんど行われていないという。同氏の仕事は、鉛の粉を細かい塊に焼成し、鉛塊に製錬するというもので、すでに9ヶ月間勤務している。同氏の防具は安いマスクと1元(約14円)の軍手のみで、勤務しはじめてから、一度も健康診断を受けていないという。同氏は、「汚染がひどくて、煙突から黒い煙がもくもくと出ている。粉塵があちこち舞って、村全体に二酸化硫黄の臭いが満ちている」と語った。

「華商報」紙によると、今のところ、同件について当局より、原因の調査および確認は行われていない。しかし、地元の村民たちの指摘を受け、8月22日に徽県政府より同工場に対して、稼働停止および工場移動指示の書面決定が下された。当局は、相次ぐ多数住民の病状を案じ、西京医院より徽県水陽郷へ専門家を派遣させ、治療に当たらせている。

西京医院小児科の副主任・成勝権氏は、医学上において、大勢の人が鉛中毒になったということは、必ず汚染源があるはずだと主張する。成氏は、「児童の体内にある鉛は、外部から来たものか、家族を介してもたらされたもの」と指摘した。患者の家族の中に、鉛製錬工場で勤務する者が防護服を着衣しなかったり、帰宅後の手洗いを怠ったりすれば、子供たちは汚染を受けやすいと指摘した。

児童が鉛中毒になると、腹痛、便秘、貧血、短気などの症状が伴い、血中鉛が1リットル中700mgを超えると、失神、痙攣や中枢神経への損傷が高くなる。その他にも、判断力の低下、成長不良などの症状を伴うこともある。

専門家は、鉛中毒から児童を守るために、石油製品の加工工場、印刷工場、バッテリー工場など、鉛の多い場所から離れることを推進している。また、飲食面においては、イモ類、ピータンおよびポップコーンなど鉛含有量の高い食品を避け、日常生活では、よく手を洗い、カラー玩具や鉛筆を口に含まない、ペンキに触れないようにすることなどをあげた。

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