【大紀元日本8月28日】中共当局は青蔵鉄道を完成させ、経済発展計画を発表したが、食肉市場などを開発してチベットの貧困地区を振興させるやり方は、計画そのものが困難に直面する可能性があるようだ。チベット人が家畜の黒毛牛を屠殺しようとしないからであるであるという。
青蔵鉄道の車窓からの雄大な景色を眺める中国人観光客(Getty Images)
青蔵鉄道は、現在、世界で最高地を走行しており、全長960kmの海抜4000m以上を走行し、最高では海抜5072mにも達し、車中からの景観は人を引き付ける。
中共当局の目論見では、チベット経済の振興要員を当地に派遣して、牛の屠殺指導をし、チベットの食肉市場を開発するものだ。当局によると、チベットの食肉と牛の黒毛を大陸各地の市場に売り出せば、経済効果は大きく、発展は間違いなしであるという。
チベットで牛70頭を飼育する酪農主のニマ氏は、中央社の取材で、乳牛はチーズ、バター、ミルクを生産するためのもので、これらはチベット人の日常生活と祭典に欠かせないものであり、牛の糞便も燃料として使用しているという。チベット地方政府はニマ氏に牛を屠殺するよう要求したが、2005年にニマ氏が処分した牛は三頭にしかすぎなかった。
チベットは中国最果ての地の一つで、西洋人もその人権問題に関心を払っているが、チベットは中国経済の同化政策的パワーを敏感に感じ取っているようだ。北京政府は、各種の方法を運用して、沿岸での経験則を適応させながら、西部22省を開発しようとしており、青蔵鉄道の完成によりチベットと中国その他の省とを、また企業家らによる観光客誘致事業によって、この世界の屋根に運ぼうとしている。因みに、中国政府はポタラ宮殿に600万米ドル(日本円で7億2二千円)以上をかけて模様替えを施し、入場者数を上げている。
改装が進められたポタラ宮殿=写真は、2006年7月5日(Getty Images)
チベットは中国貧困地区の一つで、人口270万人中、80%が辺境地区、高所に居住し、ダライ・ラマを信仰し、動物を殺生することを嫌う。チベット人の多くは、中国共産党(中共)政権の「6ヵ年西部大開発計画」が同化政策であると見ている。
ラサ市新興街で建設中のホテルの前を人力車が通る=写真は2006年8月6日(Getty Images)
チベット人の更に多くは、中共当局がすでにチベット経済を牛耳っていると認識しており、首都ラサでは、タクシー運転手、レストラン服務員、建築作業員就業者の中で、地元のチベット人を探すのは難しい。青蔵鉄道の総工費は41億元にも達したが、チベット人の雇用は10%にしかすぎなかった。
識字率だけでなく、平均寿命と個人所得(年間平均250米ドル)等でも、チベットは中国その他地域よりも遅れている。米国は、西部地域を太平洋と連結して、海外との貿易に新たな活路を見出したが、中国西部のチベットは中央アジアと連結しても、そこは世界でも最も貧しい地区であり、米国の例とは比較にならず、全く苦しい状況だ。
中共当局のこの種の西部大開発計画は、ここ20年来に貧富の差が拡大したことに当局が重い腰を上げたことにも由来するが、より多くの中国人入植者を送り入れようとする目論見もあるものとみられる。