中国の億万長者、9割が高官幹部子女

2006/08/13
更新: 2006/08/13

【大紀元日本8月13日】中共政府の研究機関がこのほど、中国の社会経済状況に関する最新調査報告を発表した。それによると、金融・外国貿易・国土開発・大型工事プロジェクト・証券の5つの分野で、重要ポストを占める者は基本的に高官幹部の子女であることを明らかにした。中国の億万長者の9割以上が、高官幹部の子女であり、その内の2900人ほどの世帯は合計2兆元(約29兆円)の資産を所有しているという。争鳴月刊の羅氷記者が報じた。

貧富の差の両極化に関する調査報告

この調査報告書は、国務院研究室、中央党学校研究室、中央宣伝部研究室、中国社会科学院など部門によって完成されたもので、中国社会における各階層の経済収入について詳細に記している。特に、都市の高級および中級公務員の収入は、すでに欧米先進国の国家公務員および中産階級の収入を上回ったことを明らかにした。

中国の5大経済部門を握っている高官幹部子女

報告書では、金融・外国貿易・国土開発・大型工事プロジェクト・証券の5大領域の中で、重要ポストを占めている者の85~90%が高官幹部子女であり、実質上、官僚資産階級が形成されていると示した。

3000人の高官幹部子女、合計資産は29兆円

また、2006年3月末まで、中国内陸(境界外および海外の資産を除く)に所有する個人資産が5000万元(約7・25億円)以上の者は27,310人で、1億元(約14・5億円)以上の者は3220人いるという。また、1億元資産を有する者のうち2932人が高官幹部子女で、合計資産は2兆450億元(約29兆6525億円)に達することが明らかになった。彼らは、広東省、浙江省、上海市、北京市、江蘇省、山東省、福建省および遼寧省に集中しているという。

億万長者の資産は権力から生まれる

一方、億万長者の資産は、主に高官幹部としての権力から生み出され、合法的なものもあれば、非合法的なものもあり、また、合法の下で不当入手したものもあるという。それらの資産の源は、主に次のものがある。

①海外にいる華人企業を含む外資を誘致し、中国に対する投資を促し、その中からコミッションを得る。

②輸入における不当利益。大型設備の導入等、一般的には国際市場より60~103%高く販売するという。例えば、イタリアから自動靴製作機を導入した場合、同機械は国際価格が200万米ドル(約2億3000万円)で、広東、江蘇両省は同一型の機械を導入したが、見積もりは600万米ドルおよび720米ドル(6億9000万円および8億2800万円)にしたという。また、その他の機械についても同様に、獲得した利益は原価の100%以上であるという。

③国内資源および商品をコントロールし、輸出へ転じさせ、暴利を獲得する。

④国土開発。土地を転売、銀行より無利息で借金する。

⑤密輸、脱税。毎年日本やヨーロッパ製のクルマ3~4万台が密輸される。第六に、金融機関からの無担保ローン。金融機関が不良債権を抱えた主な原因の1つは、資金が個人の元へ大量に流出したこと。

⑦大型工事プロジェクトを独占する。高速道路の85%は地元の高官幹部親族が経営する企業が受注している。例えば、1キロの高速道路を建築するだけで、700万~1100万元(約1億150~1億5950万円)の利益が生じるという。

⑧資金を個人口座へ分散させる。一般的には、金融機関を通じて行う。

⑨金融、メディア等とガセネタを流し、証券市場を操作し、不正利益を獲得する。

広東、上海、江蘇等各地の富豪は高官幹部子女

広東省、上海市、江蘇省の殆どの大地主および製造業者が全員高官幹部子女であり、現職政治局常任委員、副総理・黄菊氏、前政治局委員、人大副委員長、前政協主席、前省長などの親を持つという。

中国の億万長者の特色

同調査報告は、_deng_小平が述べた「一部の人を先に裕福にさせる」政策とは、自分の家族を「先に裕福にさせる」ことの裏づけとなった。中国の富豪は、民主国家の富豪のように智恵、才能、努力などによって富を獲得しているわけではなく、それらはすべて親の権力が与えたものだ。

さらに、社会主義の特色である「公有制度」(実質上、官有制度)が高官幹部子女らに富をもたらす。権力のある高官は、汚職までしなくても、主管職員に指示すれば、子女たちには土地または、国営企業での重要ポストを獲得することが簡単にできるという。従って、中国の官界で名利を共に手に入れることは簡単である。一方、「双規(取り調べを受けること)」されたり、投獄されたりする高官は、ほんの僅かな金儲けに走った人たちに過ぎない。