北京の仏教徒、お経の印刷で4年の懲役刑を受ける

2006/08/09
更新: 2006/08/09

【大紀元日本8月9日】北京市通州区に在住する仏教在家信者雷大勇氏は今年2月、無許可で経典や仏教資料を印刷したとして4年の懲役刑を言い渡された。

博訊ネットの報道によると、雷大勇氏は印刷工場を経営しており、印刷した経典の品質が良い上、印刷費用も非常に安価であるため、北京市とその周辺の都市の仏教の在家信者から、経典の印刷の依頼が殺到している。

2004年末、雷大勇氏は大量の経典と仏教資料の印刷を請け負った。中国国内では、宗教関係の内部資料の印刷についても当局の許可が必要だが、寺院は中共の関連政府部門から経典を印刷する許可をもらうのは非常に困難である。特に今回のケースは一回で数十種類の大量印刷がなされており、このような事が許可される可能性は極めて低いとされる。そのような状況の中、雷大勇氏は許可の申請準備をしながら、印刷を始めた。これらの仏教資料にはすべて内部資料や、非売品などの表示が印刷されている。

2005年4月27日、現地の警察は、雷大勇氏の印刷工場を捜索した。倉庫から19万冊あまりの仏教資料を押収。5月に雷大勇氏と従業員2人が逮捕され、検察側に違法出版物を印刷したとの罪で告訴された。

法廷審理の過程で、雷氏らの代理弁護士は、検察側が非売品の内部仏教資料を違法出版物と認定するのは、時代錯誤であると指摘、従って、違法出版物を印刷したとして科せられる違法経営罪も成立しないと反論し、同氏は関連政府部門から印刷許可を取得しなかっただけであり、その行為は社会秩序を騒乱したこともなく、行政処罰を受ける程度で済むと弁護した。

裁判所は弁護側の主張を退け、2005年10月中旬の一審判決で、違法経営罪として雷大勇氏に4年の懲役刑を言い渡した。従業員2人にもそれぞれ2年と3年の懲役刑が科せられた。雷大勇氏はこの後上告したが、2006年2月一審の判決結果を支持するとの二審判決が下された。

仏教の在家信者で、北京市在住のエイズ患者を支援する人権活動家・胡佳氏はラジオ自由アジアの(RFA)の取材で、「雷氏が印刷したのは仏教の経典であり、いわば著作権保護の問題にはまったく触れない。その上、無料で配布しているため、言わば暴利をむさぼるとの問題にもまったく無縁だ。それなのに、仏教の在家信者である雷氏がこのように圧力を受けるのは、非常に不思議におもえる」と述べ、「中国仏教協会」(仏教団体を統轄する最高機構)は、事実上中共政権に制御されている。仏教協会には共産党委員会が設けられ、課長クラスの和尚や、部長クラスの和尚がおり、中共から給料をもらっている。また、中共の活動、政治活動にも頻繁に参加し、政治問題を論じる会議も召集する。これは非常に荒唐無稽なことだ。・・・中共は独裁統治の道具として、仏教を利用している」と暴露した。

2005年11月には、北京市のキリスト教牧師・蔡卓華氏が聖書を印刷した罪で、3年の懲役刑を受けた。