軍隊の賃上げから見る中国共産党の危機

2006/08/01
更新: 2006/08/01

【大紀元日本8月1日】中国共産党の軍隊は7月1日から、成立以来最も大幅な賃上げを実施した。中共解放軍の賃金が約2倍になり、中でも中下級の将校・士官の増加幅は最も高い。専門家たちによると、こうした措置は、共産党が生存危機を感じ、独裁統治を強化するため軍人の好感を買うことで、自身の不安を払拭したい心理状態を反映しているという。

軍隊で大幅に賃上げをした後に、中南海は公務員の賃金もあげるという。軍隊と公務員は当局の二大要員陣で一千万人にも及ぶ。賃上げの財源は、数十億ないし数百億にも及び、すべて中国の民衆が汗を流して納めた税金である。

大幅の賃上げ

先日、中国メディアの報道によると、今年7月1日から、中国共産党の軍隊(解放軍)に再度賃金上げを行われた。今回賃上げの幅は、数年以来最大だという。

将兵全員の賃金は平均的に倍増した。その中、基本給が2倍近く増加し、階級手当は約3倍増加、職務手当ては約2倍増加した。中隊級士官の基本給だけが毎月2500元に達し、副師級将校の基本給だけが毎月5000元以上になった。同じ階級の待遇を比較すれば、軍隊の幹部はすでに国の地方幹部(非軍隊幹部)を上回った。

ここ数年、中国共産党軍人の賃金増加幅の速さと大きさは、中国社会のその他のいかなる階層と群体を上回っている。以前江沢民が「三年に四回」という頻繁な昇給を実施し将兵の収入が倍増したことになった。今回、胡錦涛はまた軍人の賃金を倍増した。わずか5年で、軍人の賃金は4倍になった。

階級を投売りで授ける

中国時事評論家・陳破空氏は、賃上げ以外に軍人階級を授ける手段もあると指摘した。江沢民は軍事委員会主席を担当期間中に、計8回上将階級を授け、計79人を上将に抜擢して、このような手段で軍の中で腹心を買収、育成している。

胡錦涛が軍事委員会主席を引き継いだ翌日すぐに二人を上将に抜擢し、このころ、大幅に軍人の賃上げを実施する同時に、胡錦涛はまた上将十人を抜擢した。江・胡二人は争って軍隊の階級と賃金を上げることは、江派と胡派のそれぞれ要員数の消長をもたらし、二つの派閥の激しい権力闘争を反映している。

「中国海外退役軍人協会」の責任者林正央氏の指摘によると、共産党は腐敗を含めた各種の手段で軍人を引きとめることを企んで、今の軍人階級が多すぎて、既に異常な状態になった。しかし今このような手段でも効果がなくなっている。軍の中で「少尉、中尉、上尉、みな自ら慰め、少佐、中佐、上佐、すべて無効だ」のような言い方が広く伝わっている。

軍人の抵抗と報復

林正央氏が共産党の本質は、相手が自分のために利用できるか否かによって人を見分けて差別する悪魔だという。相手に求めることがないとそんな簡単にお金をくれるはずがない。今大幅に軍隊の賃金をあげるのは、空軍や海軍などで事故が頻繁に発生していることから、共産党は深く恐怖を感じているからだ。

6月、KJ-2000大型軍用飛行機が安徽省広徳県を通過する時墜落し、乗っていた40人の専門家及び2人の少将が全員死亡した。その後、また軍用機墜落事件が相次いだ。これは実は7月1日賃上げが実施される前に退役軍人からの報復行動であり、今後もまた事故が起こる見込みだという。

60年代に軍人が不満を抱くとただ愚痴をこぼすだけだったが、今の軍人は不満があれば報復手段を取るまでやり方がエスカレートした。90年代中期、退役軍人は待遇のために陳情に行くことがほぼ無かったが、個別に陳情に行ったのも文化大革命の歴史残留問題のためだ。しかし今集団陳情は、数千人の規模にも及んだ。退役軍人が軍隊を離れて地方に行った後、抗争がもっと表面化したという。

賃上げの動機

中南海が連続的に大幅に軍人の賃金を上げた動機は二つある。一つは、独裁統治を強化する必要にある。中国共産党政権は暴力で成り立っているため、軍人、士気、武装力を買収して落ち着かせたこそ、初めて政権の安定が実現できる。特に当面では民衆の抗争事件が激増し毎年8万件強に達して、中南海は深く恐怖心を抱き、更に軍人の好感を買って軍人に頼り、自身の安全を守ることを企んでいる。

二つ目は、権力闘争の必要からなのだ。江沢民と胡錦涛とともに技術幹部の出身で、軍隊に入った経歴がないため、軍人としての威信が不足している。人望を買うために軍の賃金を上げたり将校と士官らに階級を与えたりしている。

明確に言うと、中南海のやり方とは手段を尽くして解放軍と公務員を共産党の「身内」にさせ、「既得利益の共同体」を結成し、少数者が独裁権力を握って大衆を統治する政権を強化することなのだ。

軍隊は真空ではない

時事評論家・伍凡氏はこう指摘した。軍隊は真空ではない、軍人の思想は金銭で買収できるものではない。賃上げをしても無駄で、いったん共産党が崩壊すると何もかも無くなることが、軍人達ははっきり認識している。だから根本的な解決案は軍隊と共産党の関係を切り離すことだ。軍人の使命は国の防衛で共産党の番犬になるべきでない。

賃上げは特に退役軍人の不満を招いている。中国の退役軍人は一千万人にも及び、退役の士官も数百万あって、彼らの経済と政治的な地位とも保障されていない。軍人の入れ代わりが激しいため、軍隊は外の社会と接触するチャンスもとても多くて、社会問題、共産党と民衆の対立などについてはっきりと見えている。中国共産党が自ら公表した資料、文章、高官の演説などからも「軍隊は不安定だ」という事実も見えてくる。

林正央氏はこうも言った。以前一般庶民が軍隊の兵営に入ることがとても難しかったのだが、今は休暇中の軍人が普段着を着て、兵営に自由に出入りができる。今、将校・士官は地方との連絡もとても緊密である。退役軍人と現役軍人の連絡も緊密にあり、軍隊の中でネットワークの封鎖がどんなに厳しくても、「九評」などの情報が依然として退役軍人を通じて軍隊の中に伝わっている。

軍内部の声:中国共産党を解体

先月、中国軍部内から伝わった文章「どのように中国共産党を解体するか」で、具体的に中国共産党を解体する方案を次のように述べている。軍事クーデターを起こし、メディアをコントロールし中国共産党が解体、中国で平和的なモデルチェンジの完成を宣言する。そして国内外に「九評」を伝えることと「脱党・脱団・脱隊」を呼びかけ、「全国民に告げる文」を作成し、臨時憲法、経済面・教育面の方策を創り、臨時政府の臨時委員会を設立するという。

伍凡氏は、実はこれらの変化はすべて「九評」が広がって脱党ブームが起きてから現れたと指摘している。多くの軍人は中国共産党の邪悪な本質を見極めて、中国共産党の末日がすでに近づいた事実を認識し、国と民族に対する責任感から中国共産党が中華民族を深淵の中へ引っ張ることを傍観できず、必らず何らかの行動を起こすという。

軍内部の声を応援するため、伍凡、安_qi_、李大勇、李天笑、東海一枭、草庵居士、胡平、郭国汀、袁紅冰、唐柏橋、盛雪、黄翔、梁裕峰、陳泱潮、張清溪、費良勇、謝田など海外の有志者らが「未来の中国フォーラム」を作り上げ、「どのように中国共産党を解体するか」のテーマをネット上で討論することを目的としている。このフォーラムは間もなく登場する。

軍人が目覚める

中国共産党は過去なぜ軍隊を使って民衆を鎮圧できたのか、要するに党文化が将兵らを洗脳していたのである。党文化の効き目がなくなり、武器もしっかり握れなくなると、世界脱党サービスセンター責任者の高大維が指摘している。

「九評」が発表されてから、共産党の文化が全面的に崩れはじめた。心の中にまだ正義があり、白と黒を区別できる人が「九評」を読んで目が覚め、次から次へと中国共産党を脱退する道を選んだ。「九評」が中国大陸の軍人界に伝わると、多くの軍人も目が覚め、中国共産党と決別する道を選び、甚だしきに至っては中国共産党を解体する計画すらも作られた。

脱党運動は良心的な、平和的な、非暴力的なものだが、戦をせずに人の兵を屈する道義の感化力を持っていて、刀と銃ではできない作用を果たすことができた。「九評」が中国大陸でさらに広く深く伝われば、さらに多くの中国軍人が中国共産党を脱退することになるだろう。

(大紀元記者・辛菲)