KDDIの光ファイバー事業を統括する牧俊夫・執行役員は19日、ロイターとのインタビューで、首都圏における光回線サービスの新規加入者数の単月シェアを、来年度中に5割にしたいとの目標を示した。
牧執行役員は、NTTに圧倒的な差をつけられている光回線の契約者数について「来年度にはNTTに競争相手として認めてもらえるようもっていきたい」と述べた。そのうえで「単月ではそれなりの戦いをしなくてはならない。新規で5割ぐらいを取っていく」と語った。
KDDIは今年6月、家庭へのアクセスをもつ東京電力の光回線を統合し、首都圏で新たなサービスを開始した。東京電力と合わせ、今年度末までに累計で77万契約の獲得を目指している。NTTは今年度末までに累計612万契約を掲げている。首都圏における新規加入者数の単月シェアは、NTTが8割以上のシェアを占めている。
単月シェア5割を達成する施策の一つとして牧執行役員は、家のコンセントを通じて光ファイバーサービスを提供するPLC(電力線搬送通信)を挙げた。牧執行役員は「家に光を引いても、ワンルームならいいが、各部屋で楽しむには宅内でいかに供給するかがポイントになる。PLCなど、そこは東京電力が得意なところ」と述べた。そのうえで「今は法律で規制されているが、そこの緩和とガイドランが議論されている。遅くとも年内には決着するだろう。決着したら早くやりたい」と語った。
6月からの新サービス開始に伴い料金の値下げが期待されたが、牧執行役員は「料金競争はしかけるべきではない。NTTは光にかけている。こちらが下げれば彼らも料金競争に走ってくる可能性がある。もう少し事業基盤を安定させたい」と語った。携帯電話事業「au」とのセット割引の可能性については「あるかもしれないが、まずはきちんと本来のサービスを充実させる」と述べるにとどめた。
東京電力以外の電力事業者との光回線統合の可能性については「きちんと関東で成功させることが最優先。NTTの対抗軸として、毎月、恥ずかしくない数字を出してから」と語った。
[東京 19日 ロイター]
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。