金融市場関係者の間では、日銀短観を受けて、日銀が7月にゼロ金利を解除するとの予想が広がりを見せてきた。債券・短期・為替の市場参加者を対象に実施した緊急アンケート調査(回答総数41人)では、回答者の78%が7月解除を予想した。
回答者数に違いはあるものの、6月26日調査(回答者20人)の55%、6月15日調査(回答者31人)の42%から着実に増えている。
<広がる7月解除予想>
今朝発表された6月日銀短観は全体としてしっかりとした景気の足取りを確認できる内容となった。業況判断DIは、大企業製造業・業況判断指数(DI)がプラス21と3月調査から1ポイントの改善。日銀がゼロ金利解除に向けて注目点としていた設備投資計画は、今回の6月調査で初めて本格的な計画が示されたが、大企業全産業で前年度比11.6%増となり、05年度の伸び7.2%増を上回る強い数字となった。
こうした短観の内容を受けて、金融市場では、「日銀は展望リポートの中で上振れの要因として設備投資が予想以上に強くなることを指摘している点などを踏まえると、現状の金利水準は低過ぎるといえ、金利水準を適正なレベルに戻していくことは妥当な政策」(カリヨン証券チーフエコノミスト、加藤進氏)との見方が広がっている。
回答者41人のうち、78%にあたる32人が7月のゼロ金利解除を予想した。
<年度内1回利上げ説が増加、主流は2回>
一方、ゼロ金利解除後の利上げのペースはゆっくりとしたものになる、との見方が同時に増えている。日銀から利上げに関して「ゆっくりと」という言葉がキーワードのように語られているためだ。
ゼロ金利解除を含めた年度内の利上げの回数は1回と予想する回答が22%(9人)となり、6月15日調査(13%、4人)から大きく増えた。
クレディ・スイス証券債券調査部長の河野研郎氏は「米国経済の減速の度合いを確認するのに時間がかかる。日銀は急いで追加利上げをしなくても良い」と指摘している。
ただ、依然、年度内2回予想が44%(18人)と主流には変わりはない。2回目の利上げの時期は年内を見込む参加者が51%(21人)と過半になった。
<福井総裁の辞任リスクはやや増える>
福井日銀総裁の辞任の可能性に関しては、5割未満と答えた回答が56%(23人)にとどまった。6月26日調査では5割未満との答えが70%だったので、辞任を見込む割合がやや増えたことになる。
[東京 3日 ロイター]