【大紀元日本6月26日】中共当局はこのほど、官僚の汚職・腐敗に対して、系列的な粛正行動を始めたが、専門家は、これらの粛正行動は依然として中共の内部政治闘争の一部に過ぎないと分析している。中共政治構造では、民衆の信頼を勝ち取ろうとする体制を構築する考えがないため、党政府高官の汚職に対して根本的に粛正することはしないとみている。米国VOAが伝えた。
ここ数週間、中国国内では、汚職官僚が更迭されたり、停職して取調べを受けたりすることが頻繁に起きているという。北京市の不動産市場を監督し、2008年北京五輪関連施設を建設する北京副市長の劉志華氏が更迭されたその直後、北京五輪プログラムの副責任者・金焱氏も召喚され取調べを受けた。
中国からの最新情報によると、天津市検察院の検察長が隔離審査され、都市計画と不動産を主管する天津市副市長も取り調べを受けているという。現在、中国各地の官僚が、身分の上下を問わず、汚職の容疑で更迭されたり、取り調べを受けたりしたという。
政府高官の汚職に、民衆には怨嗟の声
中国民衆の大多数は、政府高官の腐敗に対して怨嗟の声を挙げ、胡錦濤総書記と温家宝首相が主導する粛正行動を信用していないという。人々は失脚した政府高官らは汚職が原因ではなく、「政治的後ろ盾」を失ったことが原因とみている。
香港の時事評論家・柳三禅氏は、「これら失脚した汚職高官は、ボロが出てしまい、秘密がばれてしまったから、当局が動かざるを得なかった。現在の北京で、特に胡総書記が大規模な粛正を行う兆しは一切ない」と語った。
柳氏によると、一般大衆の印象では、胡総書記といい温首相というも中共指導層は、一身の安泰を追い求めているだけで、江沢民・前総書記の親派を弱体化し、自陣営の派閥を重要ポストに就かせるくらいであるとし、現体制は腐敗一掃の局面を現出する意向はないという。
また、陳水扁・台湾総統が一族のスキャンダルに巻き込まれ、政治的苦境に追い込まれたことが重大ニュースとなった。観察者らは、台湾の報道の自由によって、台湾の最高権力当局が制約される局面に立たされた現実は、北京当局を困らせたと分析した。そのために、北京当局は、大陸の新聞各紙に対して、台湾総統一家のスキャンダル報道を控えるよう指導した。
排除すべきは、中共当局の「検閲」
柳氏は、香港および台湾の経験から、報道の自由がなく世論の監督があると汚職の粛正が難しいとの意見を示した。同氏は、中国では、党政の高層指導者の家族らが汚職しても、決して世論の追及に遭わず、村長の汚職でも政治的バックがあれば、世論に追求されないと指摘した。
同氏は、「非常に重要な問題として、胡・温の現体制が本当に腐敗を粛正し続ける決心があれば、大陸の各通信社に、報道の自由、言論の自由、表現の自由を与えなければならない」と強調した。
中共当局は現在、汚職氾濫の局面は腐敗官僚らの道徳的堕落が原因であるとしているが、大陸の新聞各紙は、中央当局に50年間続いた「検閲」体質は疑問であると提議した。現在の中国国内では、中共宣伝部の統制下、大陸の各通信社は、(腐敗官僚の)汚職スキャンダル、政治制度に関する話題を報道しないよう自主規制を迫られ「検閲」指導されている。