臓器移植を求め、中国へ渡る米国人患者

2006/06/25
更新: 2006/06/25

【大紀元日本6月25日】米国では、患者9万人が臓器移植の機会を待ち続けており、その多くは臓器を取得する前に死亡する可能性が高いとみられる。カリフォルニア州サン・マテオ市のエリック・デレオン氏は死亡する前に臓器移植を強く希望している1人である。

デレオン氏は2005年、肝臓癌と診断され、肝臓に腫瘍9個が見つかったため、同氏の名前は米国臓器移植患者の待機者名簿から排除された。医師は同氏の回復はほとんど不可能だと認識している。

しかし、デレオン氏は、インターネット上で中国の臓器移植サービスを発見、数週間で「健康な肝臓」を取得できると知り、自宅を抵当に入れて11万米ドル(約1276万円)を捻出して支払い、2週間後には上海に渡り、更に数週間して中国で新しい肝臓の移植手術を受けたという。

CNNの報道によると、外国人患者数万人が、臓器移植を求め、中国へ渡ったという。しかし、問題はこれらの臓器が死刑囚などに由来し、しかも本人の同意を得ずに臓器が摘出された可能性が高く、ひいては新鮮な臓器を手に入れるため、死刑囚の息が絶える前に臓器を摘出されたかもしれないという点だ。

中共の刑務所に服役したことがある者はCNNの記者に対し、「今でも囚人たちが、生きたまま臓器を狩られる時の悲鳴が聞こえる」と語った。また、中共衛生部部長は、臓器は死刑囚のものであると認めたが、それは死刑囚らが自ら志願したのだという。

国際人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」の統計によると、中国で2005年に死刑に処された囚人数は、全世界の約80%を占める1600人強だったという。

ニュージャージー州選出のクリス・スミス議員(共和党)は、中共国家主席宛にこの暴挙の中止を呼びかける書簡を送ったという。スミス議員は、「まるでナチスの行為だ。国民に生産価値がなくなったら、臓器を狩り取っている」と憤りを口にした。

米国は、死刑囚の臓器提供を禁止しており、米政府当局は、投獄された死刑囚には、自由意志を持つ余裕がないとみている。

ニューヨークの臓器移植外科医、トマス・ディフロ医師は、中国の(臓器移植の)現状は人権侵害であるとみなし、中国で臓器移植を受けた患者の治療は拒否している。

中共当局は7月1日、臓器移植条例を改正し、臓器の売買を禁止し、臓器移植を制限したが、評論家らは、この新しい条例で、中国囚人たちの処遇に果たして何の変化があるのか疑問だという。

(記者・秦飛)