【大紀元日本6月22日】カトリック香港教区の陳日君枢機卿は19日、バチカンの特使が監禁された7人の地下教会神職者の安否および今後の扱いについて、北京で中共当局と対話を行っていることを発表した。これに対して、中共外交部(外務省にあたる)スポークスマン姜瑜氏は20日、「一切の情報は得ていない」と同件を否定した。
米国VOAによると、監禁された7人の神父のほとんどが体の弱った老齢であり、最年長は浙江省温州市の林錫黎氏(89)で、軽度の認知症になっており、介護が必要。情報によると、林氏は最近重病に罹り、体の一部が不随になり、流動食しか口に入らないという。しかし、公安当局は林氏を厳しく監視し、外部の者との接触を遮断しているという。
陳枢機卿はメディアに対して、林氏のほか、河北省保定市の蘇志民氏(74)および安樹新氏の両主教は、6年前に中共当局に連行されてから、行方不明になったままと説明した。陳枢機卿は、バチカン側は北京側と、地下教会の信者らがこれ以上に迫害を受けない協議に達成したい意向を示した。
情報筋によると、蘇志民氏は大陸で6度にわたり投獄され、これまでの監禁期間を累計すれば、21年にも達しているという。蘇氏は1997年10月に逮捕される前に、中共人民大会常任委員会に宛てた公開書簡で、当局に対して人民に信仰の自由を与えるように求めたという。また、中共当局の強い警告を振り払い、米議会議員と面会したことから、長年にわたり中共当局に「もっとも反動的主教」とみなされている。一方、香港の中国人権民主運動情報センターは19日、蘇氏は監禁期間中に死亡した可能性が高いと示唆した。
また、河北省正定地下教会の賈治国主教(71)は、昨年11月8日に公安に強制的に連行されたが、深刻な前立腺炎のため、今年5月3日に解放され入院し、6月15日に手術を受けたという。賈氏は、6万元人民元と高額な入院費に、十数人の孤児を引き取って育てているため、現在、財政難に陥っているという。
中共当局の統計によると、政府の承認を受けたカトリック教会の信者は約400万人がいるという。一方、バチカン側は、中共の承認を得ていないカトリック教会を通う信者は1000万人がいると推定している。
中共は1951年にバチカンと外交を断ったため、ローマ教皇庁は台湾と外交を始めたという。
バチカンは、中国大陸のカトリック教信者が、信仰の自由を有することをバチカン・中共間の外交関係を結ぶ重要な要素とみなしている。しかし、北京は5月に無断に2人の主教任命を行ってから、両者の会談は暗礁に乗り上げた。
バチカン・中共関係を研究する台湾文藻外国語学院・国際事務学部の梁潔芬教授は、北京側は地下教会神職者らを政治コマとして操る可能性は否定できないとの見解を示した。