8カ国財務相会合(G8)を前に8日行われた日米財務相会談では、最近の世界的な金融市場の不安定化について、谷垣財務相が懸念を表明した。特に為替については主要国の金融政策の不透明感が相場を不安定化させていることもあり、日米双方とも、4月の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)のコミュニケに沿って「急激な動きは好ましくない」との見方で合意した。
<為替相場、急激な動きは好ましくないとの見方で合意>
G8会合を前にスノー米財務長官と会談した谷垣財務相は、為替の動きについて基本的にG7共同声明などに沿った話をしたとし「為替はファンダメンタルズを安定的に反映すべきで、急激な動きは好ましくないという線に沿って長官と話をした」と述べた。
最近の為替相場は、日米欧の金融政策への見通しが不透明感を強めているため、経済指標の発表や金融当局の発言で振れやすくなっている。8日には欧州中銀(ECB)のトリシェ総裁が継続的な利上げを示唆しなかったことから、ユーロ/ドルは約1カ月ぶり安値圏に下落した。米国ではインフレ懸念と景気減速から利上げが打ち止めになるかどうかが、日本では株安によりゼロ金利解除時期が後ずれする可能性が取りざたされているため、当面為替相場が不安定になる懸念がある。このため、谷垣財務相としては、円相場が景気の持続的な拡大に水をさすことのないよう、日米財務相会談でこうした点について話を持ち出した模様。
世界的な株安については、日米会談では話題にならなかった。谷垣財務相は「それぞれの経済を見ると、米経済は好調、日本も企業業績から個人消費に回ってくる形ができている。基本的に世界経済が非常におかしくなっているということではない」との認識を示し、経済自体がしっかりしているとの見方を強調した。世界経済の動きについては、今日の会談では話は出ず、明日のG8会合で話し合われるとの見通しを示した。
<米側はイランへの金融制裁について議論を提案>
イランの核開発問題について、米国から金融面で日米欧により何らかの圧力をかける方法を議論することが提案された。谷垣財務相は「米国側も金融面資金対策など若干考えがあるようなので議論した。米国は金融面で原子力開発などについて危惧を表明できないかとの問題意識を持っているようだが、これはもう少し広く欧州などとも協議する必要があるのではないか」との考えを示した。ただ、米国側の問題意識について、谷垣財務相は「金融面で何かできることがあるのではないかということだろう」と述べ、民間金融機関による融資規制など、イランに対する金融面でのある種の制裁について、日米欧の先進国で議論すべきとの話がでたことを明らかにした。
国際通貨基金(IMF)の改革問題についても話があったとして、「9月のシンガポールでの総会で具体的な結論が出せるように、しっかり協議していこうということだった」と述べた。