【大紀元日本5月28日】広東省汕尾市で昨年12月6日に土地収用をめぐり抗議した農民らを武装警官が射殺した事件で、広東省海豊裁判所は5月24日に公開審理を行った。裁判官は爆発罪や、社会秩序騒乱罪、交通秩序騒乱罪などの罪で、村民代表らに懲役刑を言い渡した。家族らは判決を不服とし、上告する構えを見せている。
村民13人が3年から7年の懲役刑を下され、そのうち、村民代表・黄希駿氏が5年、林漢如氏が6年、黄希譲氏には7年の懲役が課せられた。公開審理の当日、被告人の家族の外は、村民の入廷が禁止された。
村民からの情報によると、禁固刑7年を科せられた村民代表の黄希譲氏は、腕を骨折し、目は失明寸前で、聴力を失っており、健康状態が非常に悪いという。黄希譲氏の妻も状態が悪く、頻繁に意識を失うなどのため、今回の審理も傍聴することができなかった。息子も足をケガしており、生活は非常に困難であるという。
昨年12月6日、広東省汕尾市で発電所建設のために土地や養殖の湖などが強制徴収されたことに抗議する農民に向けて、千人以上の武装警官が銃を乱射した。多数の村民が死亡、負傷し、失踪者も出ており、多くの人が逮捕された。
裁判所の判決書には「被告人らは、汕尾市紅海湾での発電所建設を阻止するため、昨年12月6日、村民百人以上を煽り、警官に爆発物やガソリン弾などを投げつけ、襲撃した。そのため警官は催涙弾や銃を発射したが、それは群衆を退散させるためである・・・」と判決理由が記された。
「公民維権ネット」の李健氏と一部の民主活動家は、汕尾市での虐殺の真相を調べるために、現地で独立調査を行い、調査報告をまとめた。その中で「警官が銃を発射したことは、まったく法律的根拠がない。正当防衛や発電所を守るなどの理由は成立せず、明らかに暴力の濫用である。この虐殺は現地政権が抗議する村民を弾圧するために、計画的に行った組織行為であり、目的は現地の政府官僚が土地の強制徴収で得た違法な経済利益を保障するため」と陳述した。
李健氏は「虐殺の発生した当時、警官と抗議した村民の間にはかなりの距離があり、警官の安全が確保されていたため、襲撃することは不可能である。警官の銃の乱射は、現場で誤解が生じた結果ではなく、完全に警察主導による攻撃である。政府の発表は事実に基づいていない。地方政権は責任を転嫁し、罪から逃れている」と分析した。
ニューヨーク・タイムズ紙や、AP通信、AFP通信などの報道では、「汕尾での虐殺事件は1989年の『天安門大虐殺』以来の最大規模の弾圧事件」と報じた。
事件発生以来の数ヶ月間、虐殺の被害者家族らに対し、現地政府はなんら対応していないようだ。生活が困窮し、子供は学校に行けず、病院での治療も受けられない家庭が十数戸あるという。事件で夫を亡くした未亡人は、幼い子供を連れて道端で物乞いをしている。そうした被害者家族に対し、現地政権は物乞いを禁じ、社会秩序の騒乱であると警告した。
一方、村民らの電話は依然盗聴されており、頻繁に通話が切断されてしまう。ある村民は「ごめん、私は本当に語れない。死ぬほど怖いのだ」と心情を漏らした。現地政権の暴虐な統制はますます強硬になり、恣意に逮捕や、殴打、家宅捜査などを遂行しているという。