映画「ダ・ヴィンチ・コード」、世界各地で抗議勃発

2006/05/20
更新: 2006/05/20

【大紀元日本5月20日】南仏のカンヌで開催されている第59回カンヌ国際映画祭の17日の開幕式で、オープニング作品として公式上映に先立つマスコミ上映した「ダ・ヴィンチ・コード」は記者たちの失笑を誘い、鑑賞した映画ジャーナリストの評価は低かった。「カンヌで上映後に拍手ゼロの作品なんてここ10年ないんじゃないか」と話す関係者もいた。キリストが子どもをもうけ、教会はその事実を隠すために陰謀をめぐらしてきたという筋書きに世界各地の宗教界からはイエス・キリスト冒涜したなどと批判の声が上がり、大論争を巻き起こしている。なお日本では18日、東京・日劇1でジャパン・プレミアが開催された。一方、いままで映画の審査規制が非常に厳しい中国では、17日からノーカットで上映し始めた。

キリスト教のローマ法王庁(バチカン)は映画を見ないよう訴え、ジョゼフ司教は「この映画はカトリック教を強烈に攻撃しただけではなく、神を著しく冒涜した」と強く非難した。上映前の会見でもキリスト教の倫理を問う鋭い質問が殺到、「キリストが結婚していたと思うか」との質問に対し、出演者のトム・ハンクスは「僕は(キリストの時代には)生まれてないから分からないよ」などと答えた。ロン・ハワード監督(52)は、作品はあくまでもフィクションであると強調した。

米カトリック系団体「ヒューマンライフ・インターナショナル」の代表は17日、抗議のため、関連会社がこの映画を配給しているソニーの全製品の不買運動を19日から始めることを明らかにした。同団体の広報担当は「映画はカトリックを敵視している。世界のカトリック信者10億人規模のボイコットにしたい」と述べ、インターネットやメディアで参加を呼び掛けると話した。

カトリック教徒が国民の大半を占めるフィリピンでは16日、この映画を成人向け映画(R18)に指定し、検閲当局の関係者は、同映画は「大人の判断」が必要だと説明した。マニラ市議会は18日、フィリピン国内で同日封切られたこの映画について、「カトリック教会の教義に疑問を投げかけている」として、同市内での上映を禁止する決議を採択した。カトリック教の最高権力機構「フィリピンカトリック教司教議会」は、国内の信者に対し、あくまでもこれはフィクション映画であることを認識するよう呼びかけた。総統府の文官長アミタ氏とイスラム教分離組織、社会道徳の向上を推進する団体などが、抗議を申し出、当局に上演の禁止を要請した。

インド国内ではすでに、キリスト教とイスラム教のいくつかの団体がこの映画の上映を反対する運動を行い、数百人規模のデモが発生、カトリック教団体がハンスト抗議を発起し、国内での上演禁止を要請した。インド政府は16日、この映画をカトリック団体に事前に見せ、その上で一般公開の決定判断を行うと発表し、現時点では上演を許可していないもよう。

タイでは、国内の4大主要カトリック教団体は連名でこの映画の上演禁止を要求し、計100万人以上の国内のカトリック信者の替わりに代弁していると訴えた。タイの映画審査委員会は、同映画の最後の10分間のシーンをカットし、18日に国内で上演を開始した。

ギリシャでは16日、2百人以上のカトリック教信者が、首都のアテネで抗議デモを開き、参加者らは十字架を手に、イエス・キリストへの冒涜を制止するよう訴えた。

また、シンガポールでは、歴史観を混乱される恐れがあるとし、16歳以下の未成年者の観賞を禁止した。米国では「PG-13」映画(13歳未満の子供の観賞を禁止)と定められた。英国やドイツ、ブラジルなどの国では、12歳以下の児童の観賞を禁止している。韓国では、ある団体が映画の上映禁止を求める法的措置を取ったが、その要求が裁判所に却下された。団体はその結果を受け入れたが、社会に対し、映画を見ないように呼びかけている。映画製作中に、舞台となる英ウエストミンスター寺院は「宗教的に不正確」として撮影を拒否したという。

一方、中共政権は映画に対しても厳しい規制を実施しているが、同映画の国内上映については非常に積極的で、17日夜には北京市内でノーカットの上映試写会を開いた。司教任命などで中共と対立するキリスト教のローマ法王庁(バチカン)をけん制する思惑もあるのではないかとの説も浮上している。

この映画は世界でベストセラーとなった同名小説を基づき製作されている。

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