【大紀元日本5月20日】李登輝・台湾前総統の著書「見証台湾」の日本語版、「李登輝実録――台湾の民主化に邁進する蒋経国・元総統との対話(以下、李登輝実録)」は20日に、日本で発売された。発行側の産経新聞社は、同書の内容は現代アジア史において極めて重要な歴史資料であるとしている。
「李登輝実録」は、当時元副総統を務めた李登輝氏と蒋元総統との談話記録であり、台湾国史館が2004年に李前総統の回想を口述筆記し、内容を整理したもの。日本国際教養大学・中嶋嶺雄学長が翻訳班6人を組織、翻訳、注釈、監修作業を完成した。
中嶋氏によると、本書は李氏が副総統に就任した1984年5月から蒋元総統が逝去する直前の1988年1月までの対談であるという。当時はちょうど蒋経国体制の末期にあたり、台湾が戒厳令の解除、民主化へ進む時期、すべての政局および社会において大きく変動する時期であったと語った。中嶋氏は、政治過程において、極めて重要なときに、スケールの大きな2大指導者・蒋経国氏および李登輝氏が、中華民族史上において、初めて民主化への挑戦および実現に成功したと強調した。
中嶋氏は、同書から蒋元総統が李登輝氏を非常に信頼・愛護し、あらゆる機会を李氏に与えていたし、副総統だった李氏も蒋元総統に対して、誠心誠意報いたことが伺えると紹介し、2人の強い信頼関係があるからこそ、台湾の権力継承が順調に蒋家の一族世襲から民主体制に移行し、外省人から本省人に移管されたと分析した。
中嶋氏監修の序文によると、本書では随所に李氏の中国論、社会論が見てとれるという。李氏によると、「中国社会は、民主化するのは容易ではない。経済発展はある種の雰囲気を醸成できるが、指導者を変えるまでの力になるのは非常に難しい」。中嶋氏は、李登輝氏と1985年に知り合ってから、この問題についてよく議論し、李氏の鋭い見解に敬服し、高く評価している。
中嶋氏は、同書中国語版が2004年に出版されてすぐに、産経新聞社の依頼を受けたという。同氏は、翻訳、注釈の煩雑な作業に時間がかかり、それに自身も多忙な公務に追われたために、日本語版の発行予定時期を1年間延ばしたという。また、この間、李氏に直接伺い内容と文意について確認、李氏自身も日本語版作成には積極的に協力、出版の日を待ち望んでいたという。
日本語版表紙のキャッチ・コピーで、「日本はこの民主国家とどう付き合うのか」を大きく提言、また、台湾の主権確立過程を描いたと記している。中嶋氏は、日本語版を発行する際、李登輝夫妻に対して、今秋の訪日を衷心に期待し、李氏が「奥の細道」を訪ねる宿願を実現してほしいと語った。