【大紀元日本5月17日】中国国務院の直属企業・中信集団の子会社の中信国安はこのほど、香港のアジアテレビ(Asia Television Limited、以下ATV)の22・22%の株式を取得すると発表した。これで中共政権はATVの第二の株主となる見込み。現時点において、この株取引は香港政府の行政会議で審議を受ける必要があるが、メディアは香港の報道自由が更なる衝撃を受け、自己審査が強化されることを憂慮し始めている。中共政権の内情を熟知する専門家は、中信国安の実態は、中共国家安全部である可能性が高いと警鐘を鳴らしている。
中国問題の専門家、香港誌「前哨」の総編集長・劉達文誌は、「中共国家安全部は多くの企業を傘下に収めている。「国安」と名付ける企業のほとんどこれに類する。株の買収を名乗り出ている「中信国安」の親会社である中信集団の背後には、中共の軍部と国家安全部が潜んでいる、総裁の王軍氏は、外交情報の機構に属し、死去した前最高責任者の熊氏も総参謀部に属していた」と分析、中信国安の実態は中共国家安全部である可能性は非常に高いと指摘した。
また、劉達文氏は今回の株買収について、中共政権による香港メディアに対する直接干渉を招くと憂慮し、「ATVは『中共の中央放送局』になるだけではなく、中共の情報機構に変貌し、香港を分裂させ、中共に同化させるための前哨戦である」と警鐘を鳴らした。
香港記者協会のメンバーで、香港浸会大学報道専門の杜耀明・副教授は、これは非常に芳しくないことだと語り、ATVと中共政権の関係がさらに強化されると指摘した。また、同教授は「今回の株買収は、政治とビジネスの両面において目的があり、中共政権が香港のメディア経営に興味があることが浮き彫りとなり、香港メディアの自己審査がさらに強化されると憂慮されている」と発言した。
一方、買収側の中信国安は、ATVの番組方針の制定に参加しない、ニュース番組の制作にも干渉しないと表明しているが、杜耀明・副教授はまったく楽観視していない。ATVの行政総裁・陳永棋氏は、中共の全国政治協会の常務委員を兼任しており、「天安門大虐殺」などの敏感事件をほとんど報道しなかったという。
また、中国本土の企業が香港のメディアに参入することが香港の法律を違反したかどうかについても、法的議論を呼んでいる。専門家によると、本件の買収案は、香港行政長官と行政会議による可決が必要だという。現時点ではこれらの動きがまだないもよう。
有線放送を除いて、香港のテレビ視聴率の90%は「無線電視」が占め、ATVはわずか10%しかシェアしていない。そのため香港記者協会の副会長・谭志强氏は、「もしATVが香港市民の利益を裏切る経営方針を取ったら、益々経営が苦しくなる」と釘を刺した。
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