【大紀元日本5月10日】中共の発展改革委員会は、このほど就職情勢の報告書を公表した。その中で、大学新卒者の約6割は就職先が見つからない可能性が高いと示唆した。近年、中国国内では、就職情勢が厳しくなり、大学生の賃金に対する希望ラインが下がり続け、最近では、技術の勉強だと受け止め、仕事だけを求め、給料にこだわりを持たない「低報酬グループ」が現れている。
大学生の就職難
ここ数年、中国では厳しくなる一方の大学卒の就職情勢。その背景には、各大学の入学生枠が拡大し続け、大卒者数が急増しているのも原因のひとつとみられている。中共政権の国家人事局と教育部(日本の文部科学省に相当する)などは、今年の大学新卒者の就職は、さらに厳しいと示唆した。
発展改革委員会が4月末報告書を公表し、その中で関連政府部門の調査データを引用、「2006年度の全国の大学新卒者は413万人に達し、前年比22%も増加した。一方、企業の大学新卒者の需要は約166.5万人で、前年比22%も減少した」と説明した。
また、報告書では、中西部地域での需要は小幅に増加し、東部地域では需要が停滞していると書き記している。
低報酬の就職が増加
大学新卒者が就職難に悩まされている一方、沿岸部の経済発達地域では、「技術者が深刻に不足し、高い賃金を出しても、人が見つからない」との状況が現れている。この現象は、大学教育と現場の需要が、連動していないことを露呈した。そのため、一部の新卒者は実践経験を積み上げるために、給料にこだわりを持たずに、低賃金で働き、激しい労働力競争の中で、力をつけようと励んでいる。
中共の労働と社会保障部のデータによると、2006年大学新卒者の平均賃金は1000元(約125ドル)、都会での出稼ぎ労働者の平均賃金の1100元(約138ドル)を下回っている。
中共労働保障部の副部長・張小建氏は、就職難と(技術者が乏しい)求人難は同時に存在すると認め、「これからの数ヶ月、国際貿易摩擦の激化や、国内生産の過剰、人民元の切り上げ、企業の内部改革などの問題が生じ、就職状況はますます厳しくなる」との見通しを示した。
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