1700年前の「ユダの福音書」写本解読

2006/05/01
更新: 2006/05/01

【大紀元日本5月1日】米国の科学教育団体「ナショナル・ジオグラフィック協会」はこのほど、3~4世紀に書かれた「ユダ福音書」の写本を解読したと発表した。70年代にエジプトで発見され、現在はスイスの古美術財団で管理されている写本を、同協会が資金援助し、カッセル元教授らが5年間かけて修復、内容を分析した。ユダによる福音書は、2世紀に異端の禁書として文献に出てくるが、実物の内容が明らかになったのは初めて。

パピルス13枚に古代エジプトの言語であるコプト語のサイード方言で書かれた写本には、イエスの弟子ユダがローマの官憲に師を引き渡したのは、イエスの言いつけに従ったからとの内容が記されている。

研究者は、写本の宗教的概念と言語学的特徴がナグ・ハマディ文書と極めて近い関係にあり、紀元前2世紀に流行したグノーシス派特有の思想が色濃く反映していると指摘している。

キリスト教の「福音書」はイエスの弟子たちによる師の言行録で、実際は伝承などをもとに後世作られたものと見られている。新約聖書にはマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人分だけが収録されている。同写本はキリスト教初期を知る手がかりとなるものとみられる。

この写本解読の日本語訳は、ナショナル・ジオグラフィック日本語版5月号により収録されている。