【大紀元日本4月23日】厚生労働省は最近公表した日本人海外渡航臓器移植に関する調査結果によると、現在まで、少なくとも500人以上が海外で臓器移植を受けている。なかでも心臓移植は米国で受けた人が最も多く、腎臓移植は中国で受けた人が最も多い。
厚生労働省の委託を受け臓器移植問題を担当している主任研究員の小林英司氏の調査チームが公表した調査結果では、1997年に臓器移植法が実施されてから、海外に行って臓器移植を受けた患者は、日に日に増加しており、現在まですでに522人に上っている。
一方、臓器移植法が実施されてから、日本国内で臓器移植を受けた患者は、今年の3月までに心臓移植者は33人、肝臓移植者は31人、腎臓移植者は51人だった。
小林英司氏の研究グループは昨年12月から、日本移植学会に加入している医師に対して行なった調査によると、海外へ心臓移植を受ける人に、全部日本人医師が同伴していた。1984年から2005年末まで、およそ103人が海外で心臓移植を受けたが、7割の患者が15年の生存率を維持できた。米国で受けた人は最も多く、延べ85人で、その次はヨーロッパ(ドイツ、イギリス)とカナダだった。
そのほか、肝臓と腎臓の移植を受ける患者が、自主的に海外へ渡航した人は多いので、患者の生存率を十分に把握で来ていない。ただ移植後、帰国されてから国内で治療を受けている状況に関して調査を行なった。この調査結果によると、海外で肝臓移植を受けた人は221人で、中に101人だけが移植手術を受けた国の名前を公表した。これによって、米国で42人、オーストラリアで30人、中国で14人、全部で12カ国に及んだ。一方、腎臓の移植手術を受けた198人のなかに、移植先は約半数が中国であり、その次がフィリピン、米国など延べ9つの国家だった。
研究グループの調査によると、海外で肝臓と腎臓の移植を受けた患者の大部分が移植手術を受けた海外の病院名と移植に至る過程を公表したくない。日本移植学会の原則として、臓器売買や死刑囚の臓器を移植するのは、医学倫理上禁止されており、中国では死刑囚の臓器を提供していることがあるので、日本移植学会に加入している医師が患者に対して中国へ移植に行くことを仲介してはいけないと同学会が規定している。
海外渡航して臓器移植を受けている状況をさらに詳しく調査するために、日本移植学会に、「国際倫理問題対応委員会」が新設された。