【大紀元日本3月12日】中国全人代および全国政治協商会議のスポークスマン姜恩柱氏は、3月4日の記者会見で、今年の軍事予算は14・7%増加することを発表した。また、全人代は台湾・陳水扁総統に対して、どのような行動を取るかが議論の焦点となった。
陳総統は2月28日に「国家統一綱領」を廃止することを発表した翌日、中共当局が海・陸・空の大型軍事演習を行った。中国のメディアは同演習の終了日について報道しなかったが、ターゲットは台湾であると明確に表明した。一方、温家宝首相がスイス国防長官、独メルケル首相、国連アナン事務総長と積極的に連絡を取り、外交攻勢を強化した。
中共が新に組んだ2838億元(約2兆3839億円)の軍事予算は、前年度比約400億元(約3360億円)の増加となり、その他の国家予算項目を大幅に上回っている。姜氏はこれに対して、同予算は米、英、仏、日に比べて、依然低い数字であるとの見解を示した。同氏は、今回増加された予算の殆どが、軍人の賃金に充当すると同時に、石油価格の高騰にあわせ調整するためであると示した。同予算案は3月12日の全人代で採決される見通しである。
米国は、中共の実際の軍事費用は公表された数字の2~3倍であるとみている。今年1月に米ペンタゴンが、初めて中共の潜在的に強力である軍事力が米国に対して挑戦的存在であると報告した。これまで、米国側は年々増加する中共の軍事費に対して懸念していた。それに伴い、為替および貿易関係の問題も絡み、中共に対する牽制の行動が予想されていた。しかし、陳総統の今回の決定により、米政治家らが中共の増加する軍事費に反発する声を抑えたようだ。
実際、中国国内におけるエネルギー消費、土地利用、環境保護、科学研究および教育の投資など各項目についての成果は、当初の5ヵ年計画の予定に達しておらず、迅速に発展している中国経済にとって、非常に重要である上述項目より、軍事予算費がさらに増加することは、国内の反発の声も必然に出るとみられていたが、陳総統の決定でそれらの反対を押し切ったのだ。なぜなら、完全である祖国は何よりも重要であるからだ。
陳総統の今回の決定とは、昨年末に台北市長・馬英九に敗北したことを挽回するものであると見られる。陳総統は、支持者に対して、自らの独立路線を再確認させ、危険でないことをアピールしたとみられる。これに対して、4日の記者会見で姜氏は、中国は「非常に平和を愛する国である」とし、独立で自立な平和発展路線に従っていると強調したことから見れば、中共は台湾に対して武力行使はしないのであろうが、この背景にある全人代は何かの行動を取らざるを得なくなるとみられる。中共の行動は常に謀りにくいもので、昨年突然に提出された「反国家分裂法」がその一つの例である。
陳総統の今回の決定は、受身である中共にとって決して悪いことでもないのだ。世の中の人々、国際政界および世論は受身側を同情することは常である。中共側が今回のことを上手に応対すれば、中共が樹立したいイメージを強化することができ、欧州連合の武器輸出禁止問題など多くのことにとっても有利になるかもしれない。
また、陳総統にとって反対に不利になるかも知れない。まずは、大陸側は馬市長に対しての働きがあるかもし知れず、ブッシュ大統領が陳総統を非難するかも知れない。また、独立を唱える陳総統を支持する台湾市民は、中共はいつの日か、統一することを協議しなくても反対もしなくなるかも知れず、その際、軍事力の強い中共は台湾にとってメリットがあると考えるかも知れないのだ。
陳総統は、全人代会議の前日に同決定を下したことが偶然であるなら、スケジュール表を確認すべきであろう。偶然でなければ、中共の軍事費用の増加を促すためなのか、本当はどんな意味を示しているのだろうか。
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